ポンペイで「奴隷部屋」発見 小さな明かり窓、ベッド、生活用品……

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◆寮ではなく奴隷一家が生活か
 今回発見された部屋には複数のベッドが設けられている。しかし、見知らぬ奴隷同士が同居する寮ではなく、奴隷の身分にある一家が住んでいた可能性がある。ロイター(11月6日)はイタリア文化財・文化活動省の発表をもとに、ベッドの構成を詳しく伝えている。それによると部屋には3台のベッドが設けられており、うち2台は長さ1.7メートルのものであった。ところが、残る1つは1.4メートルしかなく、子供が使用していたとみられる。このことから、部屋に居住していたのは両親と子供1名で構成される奴隷家族だったのではないかと考えられている。

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 そのほかベッドの下からは、主に室内で使用される壺や生活用品などが発見された。部屋の隅にはアンフォラと呼ばれる壺が8点配置されており、これらは一家が貯蔵容器として用いていたとみられる。APはズフトリージェル会長の見立てとして、辺りで働いていた使用人または奴隷たちが夜になるとここへ帰宅し、眠りに就いたのではないかとの見解を伝えている。会長は「生活はまず間違いなく不安定な状態にあったことでしょう」と述べ、最低限の生活ぶりだったのではないかと想定している。

◆歴史に残りにくい生活語る貴重な例
 部屋に暮らしていたのは高い身分の人物ではなさそうだが、だからこそ貴重な発見だと捉えられている。オブザーバー紙はズフトリージェル会長のコメントとして、発見は「並外れた」ものであるとの認識を報じた。とくに「(通常の)歴史的史料のほとんどはエリート階級に属する男性たちによって独占的に記されたものであるが、そこにほとんど登場しない人々についての脆く儚い現実」に関する貴重な見識を与えてくれる点において興味深い、とズフトリージェル会長は捉えている。

 イタリアのダリオ・フランチェスキーニ文化財・文化活動相も、奴隷階級に属していた人々の暮らしぶりを物語る史料に大いに興味を示している。ロイターによると同相は「これは重要な新発見であり、とくにいまだ限定的にしか知られていない当該の(奴隷)階級について、古代ポンペイにおける日常生活への理解を深めてくれるものです」と語り、発見の意義を強調した。

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Text by 青葉やまと