コロナ後遺症の原因か 英大学が自己抗体を発見

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 新型コロナウイルス感染症が「治癒」し、検査で陰性となった後も、長く症状が残る「ロング・コビッド」。不明な点も多く早急な研究が必要とされるなか、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らが、ロング・コビッド患者に特有の自己抗体を見つけたと発表した。

◆推定1800万~3700万人
 ロング・コビッドは、新型コロナ患者全体の約10~20%がかかると見積もられている。入院を要した患者だとその割合はもっと高く、10人に6人とされている。(フュチューラ・サンテ、7/18)

 日本ではこれまで80万人近くが新型コロナから回復したとされているが、最小の10%で計算しても、8万人がロング・コビッドに悩まされたか悩まされている計算になる。世界でいえば、少なく見積もっても1800万人以上に関わる問題だ。

◆多臓器に関わり200を超える症状
 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン神経科学者らによる7月15日の発表(EclinicalMedicine)は、56ヶ国3762人を対象にしたアンケート調査をもとにした報告だ。それによれば、ロング・コビッドの症状は203に及び、10の臓器に関連するものであった。回答者の91%以上が回復に35週以上かかっている。また症状は時間の経過とともに変化し、運動や身体的精神的活動、ストレスによる再発の経験者も85.9%と高い。回答者の45.2%は感染前と比較し、勤務スケジュールを短縮する必要があり、22.3%は調査時にはまだ復職できていなかった。

Text by 冠ゆき