英タレントが強制送還 豪の隔離ルールを嘲笑

ケイティ・ホプキンス氏|Nathan Strange / AP Photo

 テレビ番組の仕事でオーストラリアに入国したイギリスの有名コメンテーターが強制送還された。コロナ対策の隔離期間中に動画を投稿し、隔離のルールへの挑発的なコメントを行ったためだ。折しもシドニーやメルボルンなどでは新型コロナのロックダウン中。モラルに反する行為が国民の不満に火をつけた。

◆隔離ルールを嘲笑 異例の強制送還へ
 送還されたのは、イギリスで極右コメンテーター、コラムニストとして知られているケイティ・ホプキンスだ。リアリティ番組『ビッグ・ブラザー』の豪州版に出演するため入国し、14日間の隔離ルールに従いシドニーのホテルに滞在していた。

 滞在中に彼女は自室からインスタグラムに動画を投稿。「コロナのロックダウンは人類史上の大型デマだ」と発言し、ホテルのスタッフが食事を運んで来たら、マスクなしの裸でその前に立ちはだかり、怖がらせてやるつもりだと話していた。豪ルールでは、隔離されている人は食事が運ばれてきてから30秒経つまでドアを開けることは許されず、ドアが開いているときはマスク着用が必須だ。(AP

 この動画が公開された後、カレン・アンドリュース内務大臣は、ホプキンスが検疫規則に反することでビザの条件に違反していないか確認することを要求した。また、彼女をイギリスに送還するための署名活動も開始され、3万以上の署名が集まったという(スポーツ&ポップカルチャー・ニュースサイト『Sportskeeda』)。

 結局ホプキンスを招聘した番組側が契約を打ち切ったため、豪政府は彼女のビザをキャンセルした。警察は、マスクを着用しなかったため彼女に1000豪ドル(約8万円)の罰金を課し、イギリスに送り返すため空港までエスコートしたということだ(BBC)。彼女は19日にひっそりと帰国している。

Text by 山川 真智子