疑問視され始めた中国製ワクチン 相次ぐ接種者の感染・死亡例

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◆WHOのバックアップと強気の中国
 こうした海外の事例が相次いで明らかになるなか、中国政府は反発を強めている。国営新華社通信社は社説で米国医師会雑誌(JAMA)の研究結果を引用し、中国製ワクチンは「深刻な副作用がなく、78%以上の効果がある」とした。さらに、中国が明確な臨床データを公表していない、と非難されてきたことにも言及し「この研究結果が示す通り、隠していたのではなく、時間がかかっただけだ」と正当性を主張した。また中国は、国内の需要に応えながらもいち早く世界へのワクチン配布に貢献、すでに100ヶ国以上に5億回分のワクチンを供給したと成果を強調する一方で、「我々は、自国優先主義のいくつかの西欧諸国とは対照的だ」と、他国を非難することも忘れていない。

 こうした中国の強気の背景は、中国とは蜜月関係にあるとされる世界保健機関(WHO)が5月7日、「安全性、有効性、品質」を確認したとして、中国国営企業シノファームのワクチンの緊急使用を承認、続いてシノバック製のワクチンを6月1日に承認したことにもある。中国政府にとっては、まさに渡りに船、国際機関からのお墨付き、だと胸を張っている。

◆メイドインチャイナのイメージ挽回にも影
 現在市場に出回っている中国製のワクチンは、ファイザーやモデルナのワクチンと違って、冷蔵保存する必要がないというメリットがある。輸送経路やインフラが整備されていない途上国などでも、無理なくワクチンの輸送や保管ができるため、感染症予防の専門家は「50%の有効性でも接種したほうがよい」と提唱している。

 中国政府は、ワクチンを供給することで相手国には貸しを作り、国内向けには「世界を疫病から救う」共産党の偉業をアピールする狙いもある。しかし「メイドインチャイナ=安くて低品質」のイメージ改善を掲げ、中央政府の監視や規制が強化されるなか、ワクチン品質への疑念が高まれば、「メイドインチャイナ」の地位を再び落とすことになりかねない。

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Text by 佐藤さとみ