ドイツの司祭がバチカンに反旗、同性婚を祝福 教会方針に公然と反対

Felix Hoerhager / dpa via AP

◆「同性愛は罪」に教会内部からの反抗
 この3月の発表はドイツで波紋を呼び、約2600人の神父と、多くの神学者、信者らが異議を唱えるべく請願書に署名する事態に発展した。彼らはさらにSNS上で、#PastoralerUngehorsam(神父の不従順)というハッシュタグで呼びかけ、ドイツやカトリック信徒の多い隣国オーストリアのカトリック教会にはレインボーフラッグが掲げられた。(RTS、5/10)

◆再婚者カップルへの祝福も
「愛し合うすべての人」を祝福する今回のキャンペーンは、まさしくその流れにある動きだ。ドイツでは100以上の教会が、これに賛同している。このキャンペーンのおかげで祝福を得られるのは、同性婚カップルだけではない。再婚者カップルも含まれる。というのも、基本的にカトリック教会は離婚を認めていないので、新郎新婦のいずれかが再婚者である場合は、教会で結婚式を挙げることができないのだ。つまりカトリック教会での結婚式は、通常、初婚同士のカップルに限られているのだ。これもまた離婚率の高い現代の実情に到底そぐわない。

 バチカンに真っ向から楯突く神父らの動きには、ドイツ国内のカトリック司教ら、とくに、保守の色濃いケルン大司教らから批判の声が上がっている。また同大司教は、教会の分離にも懸念を示している。カトリックは、いまもドイツでは最多の信者を持つが、小児性愛にまつわるスキャンダルや、神父不足などを背景に、信者数は減少傾向にある。実際、2019年の信者数は2260万人と、2010年と比べ200万人も減っている。(BFMTV、5/10)

 神父らの「不従順」運動、なかなかカトリック教会が踏み切れない改革の端緒になるだろうか。それとも、内部の亀裂に終わるだろうか。

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Text by 冠ゆき