ポーランド、「中絶禁止」に大規模抗議デモ 世界も次々と連帯

首都ワルシャワでのデモの様子(10月28日)|Czarek Sokolowski / AP Photo

 ポーランドの憲法裁判所で10月22日、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する判決が下されたことを受け、同国内で大規模な抗議デモが繰り広げられた。首都ワルシャワでは女性を中心として10万人以上がデモに参加し、裁判所の判決の撤回を求めた。また抗議デモ開始直後から、世界中の人々がデモに賛同する意を表明。世界各地で連帯を示すさまざまな動きが展開された。

◆人工妊娠中絶、ほぼ全面禁止に
 ポーランドは欧州内でもとくにキリスト教カトリックの影響が強い。人工妊娠中絶はすでに厳しく制限されており、同国内の中絶理由のほとんどが胎児の先天性異常を理由としたものだ。しかし憲法裁判所は22日、胎児に異常があった場合の中絶をも違憲とする判決を下した。この判決によって、中絶がほぼ全面的に禁止されたことになる。今後は、強姦や近親相姦による妊娠、または母体に危険がある場合のみ中絶が認められる。

◆各地で抗議デモ開始
 判決直後から国内各地で行われた抗議デモは、参加者を増やしながら連日繰り広げられた。デモ開始から4日目の25日夜には数百人が大統領府周辺で抗議活動を行い、9日目となる30日には10万人が首都ワルシャワで怒りの声をあげた。

 抗議の矛先は、キリスト教カトリックの教会にも向けられた。古都ポズナンの大聖堂での礼拝中にデモ隊が乱入し、プラカードを掲げて中絶の権利を叫んだ。ワルシャワの教会でも、若い女性が祭壇の前に立ち「中絶の権利のために祈りましょう」というスローガンを掲げて抗議。ワルシャワに近い町オトフォツクでは、「女の地獄」と書かれた旗が教会のフェンスに掲げられた。BBC(10月25日)は、ローマ・カトリック教会が強い影響力をもつポーランドで教会に対する抗議活動が行われるのは異例であるとし、市民の強い憤りを報じている。

Text by 中原加晴