売春は合法、買春は違法 フランスの矛盾

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 フランスで買春取り締まり法が成立したのは、ちょうど5年前、2016年4月13日のことだ。同法により買春は罰せられることになったが、売春はいまも合法のままだ。法成立から5年経ったいまも、この矛盾に現場は混乱している。

◆売春従事者も納税
 世界で最も古い職業といわれる売春。フランスでは1946年の法律で、売春斡旋と、売春宿は禁止されたが、売春そのものは合法の状態が続いている。つまり、売春従事者はその収入から所得税を国に納める義務がある。ちなみに、2015年には同国の売春従事者は約3万7000人で、そのうち85%が女性だと見込まれていた(Statista)。

◆2016年まで売る側のみが取り締まり対象
 売春を合法とはしながらも、実は、フランス政府は売春撲滅を目指して動いてきている。その流れから2003年には売春勧誘を違法と定めた。これは、積極的な勧誘のみならず、見た目で誘うという受動的な勧誘も対象とするもので、違反者には2ヶ月の懲役と3750ユーロ(約49万円)の罰金が科せられた。しかしながら、この規定は売春組織そのものに手をつけるものではなかったため、かえって売春従事者の状況を悪化させる結果を生んだ。(20 minutes

Text by 冠ゆき