「つり目」で中国人揶揄 イタリアTVで人種ジョークが行われる背景

ミッシェル・フンツィンカー氏|Andrea Raffin / Shutterstock.com

 両者の見方をサポートするような調査がある。2019年の世論調査の結果では、対象者1500人のうち、10%は「人種差別的行為は常に正しい」、45%は「状況に応じて人種差別的行為は容認できる」と回答した。調査会社のSWGは10年前から毎年同じ調査を行っており、今回初めて、人種差別を完全に非難しなかった人が多数を占めた。(ガーディアン

◆子供時代にからかわれたフンツィカー氏 学ぶ姿勢が欠けていた
 今回騒動が大きくなったのは、フンツィンカー氏が大国ドイツでも知られ、知名度があることも影響している。フンツィンカー氏は、イタリアの有名ファッションブランド、トラサルディの現CEOトマソ・トラサルディ氏と結婚し2児をもうけたことでも話題になった。

 フンツィンカー氏は、最近も、ストリッシャ・ラ・ノティツィアで、スコッティ氏とともに人種差別的発言をしたという。そのときは黒人に対しての発言だった。

 フンツィンカー氏はインスタグラムの謝罪のなかで、「世の中の人たちが人権に関してセンシティブであることを考慮せず、私は本当に未熟でした」「私たちは、誰かを傷つけるかもしれないステレオタイプが日常生活に潜んでいることを普通のこととしてきましたが、いま、誰もがこれを変えることを学んでいます。私は学ぶチャンスをいただいて、感謝しています」と述べた。

 自分で認めているように、フンツィンカー氏は学ぶ姿勢がなかったわけだが、自分が子供のころに文化的な面でからかわれたことは、すっかり忘れてしまっていたようだ。数年前に出版した告白本によると、以下のような嫌がらせを受けていた。

 スイスには4つの言語圏がある。イタリア語圏で幼児時代を過ごし、ドイツ語圏に移って小学校に通い始めたとき、フンツィンカー氏はイタリア語を話した(ドイツ語を話せなかった)ことから「スパゲッティをむさぼり食う人」という蔑視語をほかの子供たちからいつも言われ、しばしば叩かれたりもした(グリュックスポスト)。イタリア語を話す家族だからと、近所から嫌がらせを受けたということも報道されている。

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Text by 岩澤 里美