米、州によって平均寿命に大差 1位ハワイは81歳、最下位とは7歳も
◆民主党州の住民が長生きする理由
温暖な気候と長寿に関連性があるかどうかはわからないが、アメリカに限っては各州の政治傾向が平均寿命に大きな影響を与えていることは間違いなさそうだ。1位から11位まではすべて民主党支持が強い州(ブルー・ステート)が占めているのである。12位に辛うじて共和党支持が強いユタ州が入っているが、20位までを見ると共和党支持州はユタ州、ノースダコタ州(14位)、アイオワ州(16位)、ネブラスカ州(18位)、アイダホ州(19位)の5州しか入っていない。さらに平均寿命の短い州を見ると、51位ウェストバージニア州(74.4歳)、50位ミシシッピ州(74.6歳)、49位アラバマ州(75.1歳)、48位ケンタッキー州(75.3歳)、47位テネシー州(75.5歳)……と、南部州が延々と連なる結果となった。
とはいえ、これは共和党を支持すること自体が平均寿命を短くしているというわけでもないだろう。しかしアメリカでは一般的に、経済発展や福利厚生、環境保護などの面で、民主党州が共和党州よりも法整備が進んでいる場合が多い。それは決して偶然ではなく、ジョー・バイデン大統領の政策でもわかるように、経済の活性化や福利厚生の充実化、そして環境保護は民主党政策の骨幹だからである。
ちなみに筆者の住むハワイ州では、州が運営する低所得者向けの無料健康保険なども完備されているほか、雇用者は週20時間以上働く従業員に対し無料で健康保険を供与することを州法で義務付けられている。医療費が高額なアメリカでは、健康保険の有無は生死に関わる問題になりかねないため、結果的に平均寿命の差につながっている可能性も高いだろう。
◆寿命の長さは「幸福度」にも関係あり?
しかし、ハワイ州の住民がアメリカで最も長寿である理由はそれだけではない。経済サイト『Wallethub』が毎年行う「アメリカで最も幸福な州」調査で、ハワイ州は毎年のように1位、あるいは2位となっているのである。2020年の同調査では、1位ハワイ州、2位ユタ州、3位ミネソタ州という結果だった。
反対に、平均寿命最下位のウェストバージニア州はと言えば、2020年度版はもちろん、毎年のように「最も幸福でない州」に選ばれている。同州はこの調査のなかで大人の鬱病患者の多さで1位になるなど「感情と肉体的健康ランキング」で最下位の50位、「仕事環境ランキング」では49位とさんざんな結果だった。また、さまざまな角度から分析した「幸福度スコア」で見ると、ハワイ州の69.58に対し、ウェストバージニア州は半分以下の30.58となっている。
毎日の生活を幸福に感じなければ「健康に長く生きたい」という気にもならないのではないだろうか。人間の寿命にはさまざまな要素が複雑に入り組んでいることは間違いないが、人々が安心して暮らせるシステムが整った社会と、自分を心身ともに健康に保つための努力はその最も基本的な条件であろう。
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