1位はホノルル、所得と住宅価格の差が大きい米都市 海沿いが上位に

AP Photo / Marcio Jose Sanchez

 海辺の暮らしは、ますます法外な価格に。

 ニューヨークやシアトルの不動産が高額だと知る人は多い。しかし今、富裕層がバカンスを過ごし、多くの地元労働者がそのニーズに応えるような地域でも、住宅価格の高騰が続いている。今、経済格差の拡大によって姿を変えつつあるアメリカ社会に、不動産市場のトレンドが忍び寄る。

 AP通信が、データ会社コアロジックの追跡データおよび政府の所得データを分析したところによると、アメリカ大都市圏の約78%では住宅価格が所得よりも速いペースで上昇しているという。住宅価格と所得の格差が最も大きいコミュニティ10都市のうち、その半数が海沿いの街だった。同時に、それらの地域は高所得のハイテク関連事業が集中する場所でもある。

 コアロジックの副チーフエコノミストであるラルフ・マクラフリン氏は「格差が広がっている地域では、家を買ってアメリカンドリームを手に入れるということが、どんどん難しくなっています」と話す。「でも、もしそのチャンスをつかむことができたら、生涯にわたってその恩恵をうけることができるのです」。

 所得と住宅価格の隔たりが最も大きいのがホノルルで、次にロサンゼルス、そしてハワイ州カフルイと続く。その後にもフロリダ州のキーウエスト、ニュージャージー州オーシャンシティと、観光都市が名を連ねる。10位以下に目を向けると、サンディエゴやサンタクルーズ、マサチューセッツ州ケープコッドの一部が並んでいる。

 例えば、ニュージャージー州南端の海沿いにある街、オーシャンシティ。ここのケープ・メイ郡にはビクトリアンスタイルのコテージがひしめき、アバロン地区は別荘地が立ち並び、オーシャンシティ市では板張りのボードウォークが整備されており、アルコール販売禁止が施行されて以降はファミリー向けのリゾート地として人気だ。ここの住宅価格は2000年と比べて158%上昇しているものの、賃金の上げ幅は45%に留まっている。

 毎年夏になると、この地域にはバカンスを楽しむ観光客らが押し寄せるため、その期間は雇用が生まれる。しかし、別荘を持つ富裕層(収入がうなぎのぼりの人々)はこの地で事業をやっているわけではなく、大金を稼いでいるのはもっと別の場所なので、レストラン従業員や季節労働者が成長株のポートフォリオや潤沢なボーナスの恩恵を受けられることはほとんどない。それゆえ、住宅価格が上昇する一方で所得額が停滞するに伴い、ケープ・メイ郡界隈の年間人口は2000年以降、8.6%減少した。

 住宅価格高騰ワースト10にランキングする他の都市を見ると、カリフォルニア州サンノゼやテキサス州オースティンなどのハイテク産業の主要拠点が名を連ねている。カリフォルニアの一部地域では住宅価格が非常に安定しており、ロサンゼルスやサンディエゴ、そしてサンフランシスコの価格上昇率は現在2%を下回り、マイナスに転じる可能性もある。そのため、所得との格差を縮小できるかもしれない。

 ワースト10の残りの都市はカリフォルニア州のナパとサンルイスオビスポ、そしてアイダホ州ボイシだ。

 まだ所得に対して住宅価格がリーズナブルな地域を検証すると、2つのタイプに分けられる。

 一つは、ジョージア州のアルバニー市やヴァルドスタ市など、住宅価格が2008年以前のピークまで回復していないエリアだ。

 あるいは、イリノイ州ブルーミントンやピオリアのように、住宅価格が一度も高騰したことがない、あるいはバブル崩壊後の暴落を経験したことがない地域で、2008年以降も不動産価格はほぼ横ばいに推移している。

By JOSH BOAK and LARRY FENN Associated Press
Translated by isshi via Conyac

Text by AP