「血栓と関連」のアストラ製ワクチン 仏当局「2回目は別社製でも問題なし」 各国対応

Matthias Schrader / AP Photo

◆2種のワクチンを接種しても問題はない?
 年齢制限が導入された時期も、国によって大きく異なる。フランスなどは、2月の時点ではアストラゼネカ社ワクチンを65歳未満に推奨していたのを、3月19日になって55歳以上に推奨と方針転換したのだ(ル・ポワン誌、3/19)。

 そういう事情で、1回目の接種にアストラゼネカ社のワクチンを受けた若い世代は、2回目のワクチンをどうすればいいのか途方に暮れている。オーストラリアなどは、1回目のアストラゼネカ社ワクチンを受けて副反応がなかった人は、50歳未満でも同社ワクチンの2回目の接種を受けて問題ないと考えている(ル・モンド紙)。

 しかし、フランスは、1回目がアストラゼネカ社のワクチンだった人も、55歳未満なら2回目のワクチンはファイザー社あるいはモデルナ社のものを受けるようにと発表した。

 アストラゼネカ社のワクチンは、ウイルスベクターワクチンで、ファイザー社やモデルナ社のものはmRNAワクチンと、仕組みが異なる。だが、フランス高等保健機構のジャン=ダニエル・ルリエーヴル教授は「どちらのワクチンもスパイクタンパク質を形成させ、そのスパイクタンパク質に対して免疫を生成させようとするもの」と、類似点を強調(フランス・アンフォ、4/8)。異なる2種のワクチンを同じウイルスに対して使うことは、「HIVやエボラに関して、よく用いられているテクニック」で、「同じワクチンを使用するよりも高い免疫反応を引き出す」と説明し、動物実験では、アストラゼネカ社ワクチンとmRNAワクチンの組み合わせは、良好な結果を出していると請け合う(同)。

 二転三転するアストラゼネカ社ワクチンの評価。手のひらを反すようなフランス高等保健機構の発表に、果たして国民の何割が納得するだろうか。

【関連記事】
富裕国のワクチン独占「ワクチン・ナショナリズム」にどう対峙するか
3社のワクチン接種のフランス 副反応など知っておきたいこと
中国の不可解なビザ申請条件緩和 マスクに続きワクチン外交展開か

Text by 冠ゆき