旭川市の新型コロナウイルス感染拡大とクラスターの背景

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◆活かされなかった前例
 今回の旭川市における第3波感染拡大は、そのおもな原因として医療機関などにおけるクラスター化が大きく、先述の茨戸アカシアハイツの事例は活かされなかったのか、という疑問がまずある。初期段階で旭川市の医療機関でクラスター化が発生した際に、旭川市また高規格医療機関への支援を依頼し、かつ先に自衛隊への災害派遣の要請を依頼している旨の話をしたらしいが、実際にはそれはされず、この問題が表面化した後に、旭川市から北海道を経由して、結果自衛隊の災害派遣が今回やっとなされたという経緯になるようだ。

◆初期対応での不備
 関連して、旭川市の場合でも、当初初期症状のある罹患者について、隔離してたとえば民間ホテルを貸し切っての対応などが見られなかったのはなぜなのか、という疑問もある。また先行事例があったにもかかわらず、まったく活かされていないことに、旭川市、また北海道全体の危機管理の未熟さが露呈している。この背景には、おそらくこうした大量の感染者が生じることを想定していなかったと思われる。また多くの医療機関を中心にクラスター化が発生することも考えていなかったはずだ。

 一方、医療機関内での感染は、単一の医療機関であっても、医療などのスタッフが自前で用意されているのだから、対応しきれるという慢心が行政サイドにはなかったか、という思いがある。各医療機関には「関連病院」があり、その個別のつながりでスタッフの確保や医療などのサービスの確保もできるのではないか、という「おまかせ」の体質もあったように思える。しかし、今回の旭川市では当初、関連病院、たとえば大学病院なども協力に積極的ではなかったことが報じられており、個別の協力関係には限界があった。その前提には、医療などの自前のスタッフが感染した場合、自分たちの医療機関が機能しなくなることを理解していたはずだ。ただでさえ、各地の医療機関の経営への影響悪化が指摘されるなかで、医療機関の閉鎖やスタッフの不足は経営そのものへの影響が大きい。それ以上に、感染者の出た、さらにはクラスター化が発生した医療機関に通院したくないという心理も利用者には働くはずなので、こうした悪影響は避けたい思惑も理解はできる。

 今回記述したように我が国の地域・自治体が置かれた厳しい環境下での対策は、各地域の現状を踏まえた配慮が望まれる。また広範囲への影響をも考慮した対策が必要で、単一の地域・自治体だけの問題ではないことが多い。視野を広げて、この新型コロナウイルスについての現状と課題を多角的に考察しなくてならない。

Text by 古本尚樹

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