食品廃棄大国アメリカで、フードバンクがパンク寸前 コロナで需要急増
◆新規利用急増 フードバンクも需要に追いつけず
食べるものに困る状況は、裕福な地域でも増加している。コロナ以前は高齢者や失業者がフードバンクの常連だったが、最近はパンデミックの直撃を受けたサービス業従事者が増えている。フィーディング・アメリカの幹部によれば、過去にボランティアや寄付者として同団体の活動を支えた人たちが、いまや給付される側に回っているケースもあるという。現在10人に4人は、新規の受給者だということだ(NPR)。
パンデミックでこれまで利用していた学校、事務所、公民館などが閉鎖され、配給場所が減っているのも問題だという。また、以前はレストラン向けの余った食品をたくさん寄付してくれていた業者も、ビジネスを縮小してしまった。一部の食品は、店舗でも手に入れられなくなった時期もあり、フードバンクで常に利用者から求められる商品を確保するのも困難だという(NPR)。
バージニア州のあるフードバンクでは、パンデミック前はいつでもだれでも食料配給を受けることができたが、利用者の急増でオンラインや電話での予約を義務付けるようになった。これまで地元民であればどんな利用者でも手ぶらで帰したことはなかったというが、この方針がどこまで維持できるかはわからないとしている(BBC)。
◆政府の援助も終了 食料配給はより困難に
トランプ政権は5月に、パンデミックで困っている農家を助けて失業者に食料を提供するため、Farmers and Families Food Box Program というプログラムを立ち上げた。今年末まで食料供給のサポートをするはずだったが、需要の増大と連邦政府の資金不足で多くの地域で予定より早めの終了となりそうだ、とワシントンポスト紙が12月初めに報じている。このプログラムのサポートに頼っていた地域では、配給用の食料品不足が深刻になっているということだ。
フードバンクの関係者によれば、そのほかの政府の食料援助プログラムも終了間近で、今後の活動に大きな影響を及ぼすとしている。本来ならば新しい経済救済策を可決させるべきだが、取り急ぎSNAP(低所得者に食料を買うための経済援助をするプログラム。配給されたカードによる支払いが食料品店でできるシステム)の対象者を拡大すべきだとしている(NPR)。アメリカでは感染は依然として収まっておらず、危機は深まるばかりだ。
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