国民は全土ロックダウンしてほしい コロナ第2波到来のスイス

政府による追加措置開始の翌日(10月30日)のチューリヒ市の様子|Satomi Iwasawa

◆どこでもマスク着用 体育もマスク
 連邦政府は、マスク着用義務を厳しくした。マスク着用の義務があるのは電車・路面電車・バス・ケーブルカー・飛行機、公共施設や店舗内だけだったが、これらに加え、レストランのテラス(着席している間はマスクを外してよい)や青空マーケット、混雑した歩道など屋外でもマスク着用が義務付けられた。

駅のプラットフォームの自販機。お菓子類に混ざりマスク2枚入り(約320円)が見える|Satomi Iwasawa

 学校でのマスク着用は、高校レベルで義務化された(幼、小、中レベルは原則校内マスク不要)。高校生の息子も、予備も含め使い捨てマスク3枚を毎日携帯している。ただ、授業中のマスク着用は理解できるものの、体育館での体育もマスクをしていると聞き、首をかしげてしまった。校長から、「1人15平米(ワンルームや1Kルームの広さ)を保てればマスクなし」と手紙をもらっていたので、おそらく大丈夫ではないかと思っていたからだ。

 あらゆる場所でマスク着用が義務化されるなか、やはり「息苦しい」と、マスク着用を好まない人は多いと思われる。

 長年の持病をもつ友人は、息苦しくてマスクをするのが耐えられないと言い、医師に無着用許可書を書いてもらうと話していた。絵画教室に通う友人は、教室でのマスク着用で気分が悪くなるそうだ。授業でマスク着用が始まり、頭痛を訴える子もいると聞く。

◆外出を控える人たち
 政府は、人と接触することを減らしましょうと言い続けており、実際、第2波の到来で人々も外出を控え始めている。

チューリヒ州の友人・知人たちに聞いたところ、次のようなコメントだった。
– 週1回のヨガ教室参加者:感染をおそれての欠席者が目立つ。
– スポーツクラブの託児室スタッフ:来る会員が減っている。子供を連れてくる人も減っている。
– マッサージサロン開業者:夏に来ていた常連の数人が「また近いうちに」と言っていたが、予約がない。
– 個人の語学学校経営者:オンライン授業と対面授業とにしていたが、すべてオンライン授業に切り替えた。

 筆者は取材や用事があり、最近もチューリヒ市内を出歩いている。カフェはまだ割合と人がいるが、ショッピングをしている人は少ないという印象だ。


商店は開いているが、人は少なめ(お昼近くに撮影)。もう少し人出が多い時間帯もある|Satomi Iwasawa

 ちなみに、スイスで人口が最も多いチューリヒ州の感染状況(11月9日公表分)だが、州の人口は約150万人、入院中は359人(うち46人が人工呼吸器使用)、感染していて自宅で隔離中は8473人、感染者と接触したため自宅待機しているのは1万5243人となっている。

Text by 岩澤 里美