子宮頸がんワクチン、海外の状況は? 男子への接種を進める国も
◆副作用は?
HPVワクチンの副作用を疑う声が上がったのは、実は日本だけではない。プルクワ・ドクターによると、2013年には「自己免疫疾患を引き起こす疑いがガーダシルにかけられ、約50件の訴えがワクチン製造研究所に対して」出された。だが、この問題については、フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)と健康保険が、世界220万人の女子を対象に調査研究をおこない、HPVワクチンは原因ではないという結論に達している。またサンテ誌は、ギラン・バレー症候群との関連に言及している。それによれば「(HPV)ワクチン接種は、10万人中にギラン・バレー症候群を1~2例増加させる可能性」があるという。
日本では、副反応の疑いが、2014年11月までに接種した約338万人中2584人から報告された。厚労省ではそのうち1739人について追跡調査に成功し、頭痛、倦怠感などの症状が未回復である人が186人いたことを明らかにしている(厚労省、副反応追跡調査について)。
◆定期検診の重要さ
ワクチンはこれからの世代をHPV感染から守るものだが、「(子宮頸がんが)発見される年齢の平均は53歳」である(アンフォ・カンセール)。つまり、ワクチンができた時すでに接種時期を過ぎていたいまの30代より上の世代に関しては、子宮頸がん検診を受けることが重要となってくる。
2019年にランセット・オンコロジーに発表された研究は、2020年から、12-15歳の女子の80%以上がHPVワクチンを接種し、70%の女性が生涯で2度がん検診を受ければ、今世紀中に181ヶ国で子宮頸がんの根絶が可能であると試算を立てている(トップ・サンテ、2019/2/20)。つまり、HPVワクチン接種と子宮頸部細胞診はどちらも欠くことのできない両輪ということであろう。
「子宮頸部細胞診を定期的に受けることで、子宮頸がんにかかる可能性は70%減る」と述べる婦人科ボルヌ医師は、フランス人女性は「65%しか定期的に検診を受けていない」と嘆く(プルクワ・ドクター)。一方、日本人女性はさらにその下を行く43.7%しか子宮頸がん検診を受けていない。推奨される検診頻度は国や年齢によって異なるが、平均2~3年に一度だ。HPVワクチンはすべてのHPV感染を予防するわけではないので、ワクチンを受けていようといまいと、定期的な子宮頸部細胞診が推奨されている。
以上の海外におけるHPV感染予防状況を参考に、ワクチン接種を受けるか否か、納得できる決断を下してもらいたい。