仏ボルドー、恒例のクリスマスツリー中止 台頭する環境派市長が「伝統」と衝突
6月末の市議会選挙でエコロジストの市長が何人も生まれたフランス。それらの町では「エコロジーではない」伝統を廃止する動きが出てきている。エコロジーと伝統は相反するものなのだろうか?
◆ツール・ド・フランスは「汚染を呼ぶ行事」?
2020年6月末フランスの市議会選挙では、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV)が歴史的な伸びを見せた。すでにエコロジストが市長を務めるグルノーブルでの再選だけでなく、リヨン、ストラスブール、ボルドー、ブザンソン、トゥール、ポワチエ、アヌシーといった比較的大きな都市の市議会がエコロジストへ転換したのだ。
リヨン市長に就任したEELV所属のグレゴリ・ドゥセは9月9日、ツール・ド・フランスの誘致を今後は考えていないと明言。同競技は「マッチョで公害を引き起こす」行事だと批判した(20minutes紙、9/12)。
ツール・ド・フランスとは、1903年から続く23日間の自転車ロードレースで、毎夏走行ルートを変え、約3500キロメートルの起伏に富むコースを進むものだ。中継放送では、フランス国内さまざまな景観が堪能できることもあり、老若男女に愛される夏の風物詩でもある。だが同時に、並走する車が引き起こす大気汚染やごみ問題が存在するのも現実だ。ドゥセ市長の主張は、「環境に対する自らの足跡を問うことを最優先しない」スポーツイベントの招待は、今後は受け入れられないというものだ。
とはいえ、ツール・ド・フランスにもエコロジー意識がないわけではない。総監督を務めるプリュドム氏は、「我々は進歩の過程にあり、回を重ねるごとに企業の社会的責任(CSR)のポリシーを発展させている」(同)と述べ、例として、今年はツール・ド・フランスの歴史上初めて、レースに参加した主催組織の車はすべてハイブリッド車だったことなどを挙げている。