日本の接触通知アプリの利用は少ない? 欧州諸国と比較

Zigres / Shutterstock.com

◆開発に消極的な国
 開発を続ける国々のなかで異色なのがルクセンブルグだ。同国政府には、はなからアプリ開発の意志が薄く、8月31日の議会でもその意志を再度表明した。同国では「優先順位は依然としてアナログトレーシングにある。つまり、陽性と診断された人と接触のあった人に電話で連絡を取るというものだ。保健省の最新報告によれば、この方法で、1700件近くの感染が検出された」(ル・コーティディアン紙、9/1)。ちなみに、ルクセンブルグの人口は63万人弱。東京で言えば、人口最多の世田谷区どころか、足立区や江戸川区の人口よりも少ない。アプリリリースにかかる費用は450万ユーロと見積もられており(同)、規模を考えると開発に消極的であるのも頷ける。しかし、新規感染者数の急激な増加の折には、アプリ使用が必要になるため、準備をしておくべきだという声もあるという。

 このように、欧州における接触通知アプリの運用と利用状況は国によってまちまちだ。アプリ利用者の割合が高いほど感染予防の効率も高くなるわけだが、自国政府やビッグ・テックへの不信感からか、利用者数が伸び悩む国は少なくない。

 日本だけじゃなかったと安心すべきか、模範的運用国がないことを嘆くべきか。それにしても、未来は、現代のわれわれの行動をどう評価するのだろうか。

Text by 冠ゆき