感染源は他人ではなく顔見知り 米、パーティで感染拡大

Doral Chenoweth / The Columbus Dispatch via AP

◆夏のパーティーやイベントで感染拡大
 アメリカでは5月下旬~6月上旬になると公立校や大学がいっせいに夏休みに入る。太陽が燦々と輝くこの季節、人々はもちろん楽しいことをしたくなる。アメリカでは夏になるとアウトドアや裏庭でのパーティーが盛んに開催されるが、家族や友人を含め、顔見知りの人々と集まる機会がクラスター感染につながることが多い。他人と会うときはきちんとマスクを着ける人々も、自宅ではマスクをせずに過ごす。自宅にいるという安心感で油断し、外から人を招くことで安全が脅かされているということに気がつかない。
 
 NBCのモーニングショー『トゥデイ』(電子版)では、ニュージャージー州のビーチでライフガードを務める人々24人以上がパーティーでクラスター感染した例や、同州でティーンエイジャーが開いたパーティーで20人以上が感染した例、またオハイオ州で家族・親族を自宅に招いて開いたパーティーで参加者17人のうち14人が感染した例が紹介されている。

 家族や友人同士の集まりでは皆リラックスして気が緩み、自宅だという安心感からマスクを着けない人々も多いはずだ。また、仲が良いことから自然と距離が近くなり、アメリカ的習慣としてハグをしたりキスをしたりする場合も多いだろう。

 また、天気がいいという季節柄、夏はウェディングも多くなる。CBSニュースによると、東部メイン州では8月7日に開催された結婚披露宴パーティーで53人が感染。パーティーには出席しなかったが、出席者から感染した人1人が死亡している。

 また、筆者の住むハワイ州でも家族や知人、友人同士による感染拡大が起こっている。現地紙ホノルル・スターアドバタイザー(電子版)は8月5日、前日4日の新規感染者144人のうち、71人は葬儀、12人は誕生日パーティーでのクラスター感染だと報道した。同州では最近の感染者のほとんどがオアフ島に集中しているため、現在は島間移動でも14日間の自主検疫が課せられるほか、同じ住宅に住む家族以外、5人以上の集会が禁止されている。

 このようにアメリカでこの夏に爆発的に起こったクラスター感染ケースを見ると、「3密」はバーやクラブだけではないことがはっきりとわかる。自宅のパーティーや、葬儀・結婚式などのイベントも立派に3密になり得るのである。アメリカの悪い例を反面教師にし、日本でもこのような感染パターンで起こる集団感染を避けるため、今後は人の集まりに関するより明確なルールが必要となるだろう。

Text by 川島 実佳