どの素材のマスクが飛まつを抑えられるのか 米研究 手作り布マスクの効果は?

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◆手作りマスクの防御率は70-90%
 結果はといえば、もっとも飛まつの拡散を防いだのは予想通りN95マスクで、99.9%と高い防御率だ。「それに次ぐのが90%以上防ぐ3層でなるサージカルマスク。そのすぐ後に、ポリプロピレン製とコットン/ポリプロピレン製のマスク。ハンドメイドのコットン製のマスクの防御率は、マスクの層やプリーツにより70~90%と幅がある」(20minutes紙、8/11)という順位だった。バンダナの防御率は低いが、それでも顔の下半分に巻くだけで平均50%飛まつ数を減らすことがわかった。

 逆に、驚いたことにフリースをつけると、マスクのない状態よりも飛まつの数が増えるという現象が生じた。研究者らは「(フリースを)介して話すと、最大の飛まつが多数の小さな飛まつに分散した」(サイエンス・アドバンシス)のがその原因だと考え、使用見直しを勧めている。というのも、「小さな粒子は大きな飛まつよりも長い時間空中に浮遊することを考えると、そのようなマスクの使用は逆効果になる可能性がある」(同)からだ。

 また、特記に値するのは、N95マスクでもバルブ付きはスコアが低く、サージカルマスクや一部の布マスクを下回る点だ。研究者らも「バルブは着用者の防御を低下させることはないが、周囲の人を守る率を低下させる可能性がある」(同)と記している。

 この実験が扱うのはマスク着用者から飛散する飛まつのみであり、周囲の飛まつからの防御は対象外だ。しかしながら、無症状感染者の割合が40〜50%と言われることを考えれば、着用者の飛まつ拡散を防ぐことは、外からの飛まつを防ぐのと同じくらい重要であろう。またこの実験報告は、手作り布マスクの着用が無意味ではないことも明らかにしている。

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Text by 冠ゆき