新型コロナはどのように収束するのか 過去の感染症が辿った道

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 先日6月25日に終息宣言されたコンゴのエボラ出血熱流行にも、ワクチンが大きな役割を果たした。エボラ出血熱は1976年にスーダンとコンゴで発見された感染症で、「2014年(中略)『これまでで最大の感染症流行』を引き起こした。高熱と、多くの場合死に至る出血の原因となり(中略)致死率は30~90%」(「科学と未来」誌)である。当初はワクチンも治療薬もないため、ひたすら隔離により流行を回避した。2014~2016年に西アフリカで流行した際には、2万8616人の感染者と1万1310人の死者を記録した。ところが、エボラは症状が消えたのちも、ウイルスが体内に残ることがあり、再び感染が拡大する。ただし2018年からは広くワクチンも用いられるようになり、「30万3000人がワクチンを受け」(同上)、6月25日の流行終息宣言へとつながった。

 こうして見るとわかるように、多くの場合、感染症の流行抑制には複数の要因が働いている。また、効果的なワクチンが完成した感染症は少数派に過ぎず、ワクチンが感染抑制の決定打となった疫病はさらに少ない。また、これまでのところ、SARSにせよMERSにせよコロナウイルスのワクチンは開発されていない。

 さらにもうひとつ注目すべきなのは、これまでに撲滅に至った感染症は天然痘だけだという事実である。これはある意味当然のことでもある。というのも「撲滅が可能なのは、ヒトが唯一の病原巣である天然痘や麻疹、ポリオに限られている」(フュチューラ・サンテ)からだ。言い換えれば、たとえCovid-19の流行が収束しようとも、「SARS-Cov-2ウイルスは、地球上から決して完全に消失することはない」(同上)のである。

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Text by 冠ゆき