高層マンションから降るゴミ、中国で問題に 豆腐、犬糞、自転車も

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◆悪習を悪習と思わず 意識改革が必要
 マンションの管理事務所に協力を求める場合もあるが、個々の被害への対応は、やはり個人に任されているという。上階から降るゴミに耐え兼ね、3階の住人がガラス製のひさしをテラスに設置したが、ある日落下してきたマグカップでひさしが割れてしまった。この住人はマンションの管理事務所に修理を要求したが、ひさしの設置自体が許可を受けていなかったということで、訴えは却下されたという。最後の手段は自費でカメラを取りつけ、犯人を捕まえることだと住人は話した(WSJ)。

 独自に監視カメラを取りつけたり、ポイ捨てへの警告やパトロールを行ったりするマンションもある。しかし高齢者の長年の習慣をやめさせるのは難しいし、どんなに監視カメラを設置しても人々の態度が変わらない限り、無駄に終わると被害者の一人は述べている。浙江省のあるマンション管理会社のマネージャーは、事故が起きない限り、人々はポイ捨てについて真剣に考えないと述べている(インクトーン)。

 中国では、5年間かけて編纂された初の民法典が2021年1月1日から施行されるが、そのなかで高所からの落下物の損害と義務について規定されている。これにより、より責任が明確になることが期待されているが、実際は罰則も明示されておらず、曖昧で具体性に欠けるという意見もある(WSJ)。都市化が進む中国では今後も高層住宅の住人は増えると思われ、問題解決への道のりは長そうだ。

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Text by 山川 真智子