ドイツ、コロナで消費者心理はどう変わったのか?
◆感染リスクを前提とした景気回復対策
ドイツの失業者は281万人(2020年5月)で前月より約17万人増えた。コロナ禍の影響で時短勤務(クルツアルバイト・時短勤務制度は、解雇を極力避け、勤務時間の短縮により雇用を確保し、企業の申請により政府が賃金を補助する雇用調整制度)となった従業員は3月から5月27日まででの申請で約1100万人となった。(連邦労働庁)
ドイツ政府は6月3日夜、コロナ禍による景気緩和のため、1300憶ユーロ(約16兆円)の経済対策を公表した。付加価値税の引き下げや、子供一人当たり300ユーロ(約3万6000円)の家族一時金支給などを施行し、景気回復を後押しする。しかし、コロナ禍がいつ終息するのかにより経済再建やこれからの生活設計は長期にわたる課題となる。
ベルリン・シャリテ大学病院ウイルス学部のクリスティアン・ドロステン教授は「感染の第2波によるシャットダウンは避けられるかもしれない」(シュピーゲル誌)と、今後の見通しを語った。だが、新型コロナウイルス感染拡大の可能性はいたるところにあり、決して気を緩めることはできない。
ドイツで確認されている新型コロナウイルスの感染者は、18万7682人、回復者は17万2692人、死亡者は8807人。1人の感染者が何人に感染を広げるかを占める再生産数は1.19(感染者1人がウイルスをうつす人数が1人以上、1.19ということを意味する)(米ジョンズ・ホプキンズ大学、日本時間6月16日14時33分)。
ドイツ市民は6月15日から欧州31ヶ国内の移動が可能となった。コロナ危機後を想定するのはまだ尚早だが、景気回復には険しい長い道のりが待ち受けており、消費者の動向は価値観とともに大きく変わっていくだろう。