「陰のパンデミック」世界で増えるDV ロックダウンが生む負の側面

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの国でロックダウン、国民の自宅待機が行われている。そもそもコロナウイルスの拡大防止と人々の身を守るため手段であったが、それと同時に別の大きな危険をもたらしている。人々が家庭内で過ごす時間が増えるにつれて、DV(家庭内暴力)の相談や報告が各国で増加している。

◆コロナウイルスによる裏の被害者
 国連の報告によると、コロナウイルス対策として6ヶ月のロックダウン措置により、世界中で6,000万件以上の家庭内暴力事件が発生する可能性があると警告している。国連人口基金(UNFPA)のラミズ・アラクバロフ副局長は「危機内での危機である。我々はこれに最大限の注意を払う必要がある」と語った。 そして、この問題について何もしなかった場合、要するに話題にすることなく無視した場合や警報ベルを鳴らさなかった場合は、3ヶ月ごとにさらに1500万件のケースが増える可能性があるとも述べている(CBSニュース)。

 ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関であるUN Womenは、新型コロナウイルスによる各国のロックダウンや外出自粛により家庭内での時間が増えるにつれ、女性と女児に対する暴力が増えることを指摘している。UN Womenによると、過去のエボラ出血熱やジカ熱などの感染症が広がった際も、人の動きが制限されたことにより女性への暴力が増加する傾向がみられた。この影響を「シャドー・パンデミック(陰のパンデミック)」とよんでいる。

Text by sayaka ishida