新型コロナ感染者に少ない喫煙者 仏でニコチンの効果検証へ

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 神経生物学者ジャン=ピエール・シャンジューとパリのピティエ・サルペトリエール病院の医師らは4月22日、Qeiosに発表した論文のなかで、ニコチンが新型コロナウイルス感染の予防と治療に役立つという仮説を打ち立てた。一見突拍子もなく見えるこの仮説だが、その根拠を紐解いていくと、検討の余地があるのではと思わせる内容だ。

◆感染者には喫煙者が少ないという事実
 もとより、肺炎を引き起こすことが多い新型コロナウイルスは、非喫煙者より喫煙者に大きなリスクをもたらすと思われてきた。実際、中国疾病予防管理センターが発表した新型コロナウイルス感染男女比較研究を紹介するニューヨークタイムズの記事(2/20)も、男性の感染の重篤化が高い理由のひとつとして、圧倒的な喫煙率の高さをあげている。

 ところが、感染が広がり、観察研究が進むにつれて、新型コロナウイルスの感染者には喫煙者が少ないことが明らかになっていった。

 まず、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に2月28日に発表された中国の研究によれば、Covid-19患者1085人のうち、喫煙者は12.6%、過去に喫煙の経験があるものを入れても14.5%しかいなかった。ル・モンド紙(4/22)が指摘するように、中国人口に占める喫煙者の割合が平均28%に上ることを考えると、その低さが目立つ。

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Text by 冠ゆき