「一般人にもマスク必要かも」欧州で見直しの動き 着用義務づけの国も

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◆中国はマスク重視、無症状者を懸念
 一方、中国の疾病予防管理センター(CCDC)の所長、高福氏はマスク着用が感染防止のカギだと主張する。同氏は、欧米の大きな間違いはマスクをしないことだと断じる。新型ウイルスは飛沫や濃厚接触によって感染するが、とくに飛沫が重要な役割を担う。しゃべるときに必ず飛沫は飛ぶため、マスクは必要という考えだ。同氏は、多くの無症状感染者や感染初期の人がいるが、彼らがマスクをしていれば飛沫感染を防止することができる、と説明している(サイエンス誌)。

 欧米の専門家の間でも、控えめだが効果は期待できるという意見もある。ミシガン大学のアーノルド・モント氏は、大きな飛沫からの感染をある程度防ぐ効果はあるため、ほかの対策と合わせれば違いを生むかもしれない、と述べている。バーミンガム大学のKK・チャン氏は、欧米でも感染のピークが過ぎて、ソーシャルディスタンシングの規制が緩められれば、マスクの役割はより大きくなるのではないかと述べている(サイエンス誌)。

◆マスクはアジア的? 欧州で見直し始まる
 新型コロナウイルスの感染が拡大する欧州では、マスクの効果に注目する国々も出ている。サイエンス誌によれば、チェコでは公共の場では鼻と口を覆うことが義務づけられ、手作りマスク製作のための草の根的な動きが始まったという。

 オーストリアでは、すでに生活必需品を売る店以外は多くの施設が閉鎖されているが、感染の速度を遅らせるため、スーパーでの買い物の際にはマスクをすることが求められている。現在入口でマスクが配られており、公共の場でのマスクの着用も中期的な目標にしたいということだ。クルツ首相は、マスクをすれば感染しないわけではないが、他人にうつす危険性は低下すると説明している(ロイター)。

 オーストリアの決定へのコメントを求められたドイツのカウツ報道官は、ドイツの感染が鈍化し封鎖が解かれた後は、一般市民がマスクをすることは必要かもしれないという見解を示した(ロイター)。

 SARSを経験した東アジアでは、マスク着用は感染を減らすための集団的責任だと捉えられているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は述べる。欧米ではいまでもマスク着用はアジア的というイメージだと同紙は指摘しているが、感染拡大が深刻化し、マスクへの考えも変わりつつあるようだ。もっとも、今後マスク着用を義務づける国が増加すれば、現在の品不足にさらに拍車がかかる。医療機関のマスク供給に支障が出る可能性もあり、推奨の前に増産体制や供給網を整えるべきだろう。

Text by 山川 真智子

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