新型コロナウイルス、暖かくなれば終息するのか?
◆暖かい気候によってウイルスの感染拡大は抑制されるのか
誰も確証は得ていない。新型コロナウイルス(COVID-19)は、2019年12月末に初めて確認された。気温が上昇することでCOVID-19が小康状態に入ることを示唆するデータがない、と指摘する科学者は多い。
「ウイルスの感染拡大が今後も続く可能性を想定しておく必要があります。インフルエンザと同様に夏になれば消滅するだろう、というのは安易な希望です」と、世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン博士は話す。
シンガポール国立大学で感染性疾患の上級専門医を務めるデール・フィッシャー博士もまた、暑い気候によってウイルスの感染拡大が弱まることは確信できないと話す。
「おそらく数年間流行が続き、地球上のほぼ全域にウイルスが蔓延した後、インフルエンザのように定着し沈静化する可能性はあるでしょう。自然条件がどうであれ、我々はこのウイルスに対する自然免疫を持っておらず、圧倒的に影響を受けやすいのです」と、フィッシャー博士は述べる。
一方で、メリーランド大学医学部のムハンマド・サジャディ准教授は、気候が及ぼすウイルスへの影響を支持する。サジャディ准教授と同僚の研究者らは、COVID-19の流行が続く地域の気温について顕著な類似点を見出した。いずれも摂氏5~11度である。
「季節性について我々の見解が正しいのであれば、サーベイランスや公衆衛生に関するさまざまな対策に貢献できるかもしれない」と、サジャディ准教授は話す。
>次のページ 同系統のウイルスはどのような動きを示してきたか