【独銃撃】世界で連鎖する白人主義テロ 欧米で懸念高まる

Michael Probst / AP Photo

 今月19日夜、ドイツ西部フランクフルト近郊の都市ハーナウをテロの悲劇が襲った。ハーナウにある水タバコのシーシャバー2ヶ所で立て続けに銃乱射事件があり、これまでに10人が死亡した。犠牲者の多くはトルコや中東にルーツを持つ移民だった。ハーナウのシーシャバーには普段、現地で働くクルド系住民が多く通っているという。

 銃を乱射したのは地元に住む40代の白人の男で、事件直前に動画やメッセージをネット上に配信し、「イスラエルやエジプト、モロッコ、トルコ、イラン、インド、パキスタン、ベトナム、フィリピンなどの国々は完全に破壊されなければならない」などと主張。外国人排斥主義、移民・難民排斥主義、人種差別的な考えを示していた。
 
◆極右テログループの摘発直後に発生
 この事件は、ドイツ国内で極右テログループが摘発された矢先に起きた。移民・難民の受け入れに賛成する政治家やイスラム教徒などを狙うテロを計画していたとして、2月中旬に極右テログループのメンバー12人が国内各地で逮捕された。この12人は、移民などに対し寛容な政策を取り続ける政府やドイツの民主主義体制そのものを打倒する目標を掲げ、ネットやSNSなどで連絡を取り合い、豊富な資金や人脈を利用して組織の拡大を図っていたという。

Text by 和田大樹