封鎖・武漢に取り残されたペットたち……ボランティアが救助に立ち上がる

Ivan Marjanovic / Shutterstock.com

◆広がるボランティアの輪、チャット・アプリで繋がる
 AFPによれば、武漢の小動物保護協会も、チャット・アプリQQでグループを作り、同様の活動を行っている。飼い主がグループで詳細を伝え、引き受けられるボランティアが応答するシステムだ。なかには「ペットの赤ちゃんヘビに餌をやって」という引き受けにくいお願いもあるというが、心優しいボランティアの輪は、武漢と同様に封鎖が行われている浙江省にまで広がっているという。

 ボランティアは、飼い主の家に入るとペットに餌を与え、その様子をビデオかビデオチャットで飼い主に送ることになっている。家に餌が残っていなければ、協会が無料の餌をサービスする。家が施錠されており鍵や開錠用のパスコードが提供されない場合は、ドアを開けるための費用は飼い主負担ということだ。感染者が出たアパートなどでは、外部の来訪者を拒否するところもあり、力になれないときもあるという。登録ボランティアは2000人を超え、これまでに200匹以上のペットを救ったということだ(中国国営チャイナ・デイリー紙)。

◆デマが拡散、ペット受難のとき
 AFPによれば、ペットを救おうという動きが出たのは、新型ウイルスの拡散を止めるためペットの飼育を禁止するアパートがあると複数の中国メディアが報じたためだという。また、未確認だが、同じ理由から犬を建物の上から投げ捨てるなどの報告もあったということだ。

 ロイターも、ペットがウイルスを拡散させるという噂が一部地域で広がっていると述べる。ここ数週間で、捨てられるペットが増えたと動物保護団体が報告しており、ペットが殺されているという一部の報道もネットで拡散している。すでに感染者が湖北省の次に多い浙江省では、逐昌県が犬を室内から出さないよう住民に命じ、公の場で見つけた犬は処分するという通達を出しているということだ。

 新型ウイルスは、武漢の市場の動物を介して人に伝染したと考えられているが、世界保健機構(WHO)は「犬、猫、その他のペットが新型ウイルスに感染するという証拠はない」としている。ウイルス感染拡大による混乱で、罪のないペットが犠牲にならないよう、正しい知識や情報の伝達を中国メディアに求めたいところだ。

Text by 山川 真智子