政治問題化する新型肺炎 広がる「中国恐怖症」、一帯一路にも逆風

Ahn Young-joon / AP Photo

 また、北京への抗議デモが続く香港では、新型コロナウイルスへの香港政府の対応に対して市民の不満が広がっている。香港の高度な医療を求めて、中国人が押し寄せてくるという警戒感から、深センとの境界を封鎖し、中国人の流入を停止せよと求める香港人の声も強まっている。一部の医療関係者は、封鎖を求め3日からストライキに入るという。昨年以降、香港では北京や香港政府への抗議デモや衝突が続いているが、現在は、明確な要求事項があるというより、漠然とした大衆的抵抗になっていることから、今回の問題が新たな摩擦になる可能性もある。

 さらに、新型コロナウイルスへの感染が確認されたフランスでは、中国系フランス人などアジア系に対して、排斥的、人種差別的な言動がSNS上で増加している。また、現地にいる台湾人や日本人などからも差別的な発言を浴びせられたとの声も聞かれる。

◆新型コロナウイルスとシノフォービア
 新型コロナウイルスが長期化すればするほど、各地からシノフォービアの声は強くなる。一帯一路政策を軸に中国の経済的影響力が大きくなるなか、中国人や中国資本は各地に展開している。もちろんそのほぼすべてに今回の問題は関係ないだろうが、現地からは中国への抵抗はいっそう強くなるかもしれない。近年、アジアやアフリカの一部の国では、「反一帯一路」的な行動も顕著に見られるようになり、新型コロナウイルスが別の意味で現地の人々を感染させ、シノフォービアをさらに強める可能性もある。北京にとっては、きわめて厳しい現状だろう。

Text by 和田大樹

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