クリスマスは中華料理、ユダヤ系アメリカ人の120年続く伝統

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◆いまや全米に拡大、クリスマスといえば中華
 クリスマス中華の習慣は、全米のユダヤ人コミュニティで見られる。ディザレット・ニュース紙によれば、ソルトレイクシティの中華料理店「ニュー・ゴールデン・ドラゴン」には、毎年数十人がクリスマスイブに集合し、中華料理を食べているという。地元のユダヤ教団体のエグゼクティブディレクター、アレックス・シャピロ氏は、この集まりには宗教的、象徴的側面はまったくないと話す。

 もともと以前は知り合い同志が集まっていたが、単身者や学生など、クリスマス休暇時期に一緒に過ごす人がいない人がかなりいることに気づき、6年前から家族的な食事を楽しみたい人が誰でも参加できるイベントに変えたということだ。サンタの姿はないが、子供たちにお菓子や塗り絵などのプレゼントもあり、異教徒の参加も歓迎ということだ。

 安心して中華料理を食べたいという人々のために、ユダヤ教の規律にあった中華料理を提供する店も現れた。アメリカン大学のラジオ局「WAMU」によれば、メリーランド州のコーシャ中華料理店「ホリー・チョウ」は、クリスマスシーズンになるとワシントンエリアのユダヤ人客からのオーダーで大忙しだ。

 シェフやスタッフは中国人や南米系が多いが、オーナーはユダヤ人だ。ユダヤ教の規則を守り、禁止されている甲殻類や豚などは一切使わない。一般の中華料理店で人気のエビチャーハンやシュウマイなどはなく、価格も高めだが、顧客の9割がコーシャに忠実で、ビジネスは好調だという。

◆自由なクリスマス 食後のお楽しみも
 ユダヤ人家庭のなかには、中華料理を食べた後、さらに映画を見に行く習慣もあるという。プラウト氏によれば、1880年代から1920年代にローワーイーストサイドに移り住んだユダヤ系移民の多くは低賃金で労働環境の劣悪な工場で働き、安アパートに住んでいたという。休みになると、1本数セントで見られる映画館に行くのが彼らにとっての娯楽だった。クリスマスも単なる休日だったため、映画に行くことが多かったようだ。

 プラウト氏は、「クリスマスに何をすべきか」は長らく部外者ユダヤ人にとっての疑問だったとVoxに話す。歴史を遡れば、迫害を恐れクリスマスに家に閉じこもる時代もあったということで、中華料理を食べ、映画を見る自由なユダヤ人のクリスマスが今後も続くことを願いたい。

Text by 山川 真智子

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