世界の富豪と寄付 財布の紐が堅いアジア人、ジェフ・ベゾス氏……

lev radin / Shutterstock.com

◆寄付は目立つところへ、目的に偏り
 報告書は、アメリカでフィランソロピーと呼ばれる慈善活動は富裕層の娯楽で、必ずしもすべての活動を平等に支えているわけではないとする。寄付目的として最も人気があるのは教育で、79.5%だった。ビル・ゲイツ氏の財団の米国内でのメインは、教育となっている。

 2位は社会福祉61.7%、3位は芸術文化57.6%、4位はヘルスケアと医学研究57.4%だった。5位は環境や動物の保護32.6%で、テスラのイーロン・マスク氏が、自然保護団体シエラクラブに600万ドル(約6億5400万円)を匿名で寄付したことがのちに判明している。

 6位は子供や若者の育成31.9%、7位は宗教とパブリック・アフェアーズ(公共の関心事)が並び12.4%だった。パブリック・アフェアーズに力を入れているのはジョージ・ソロス氏で、リベラル政治家への献金も多く、2016年の大統領選にはヒラリー・クリントン氏に多額の献金をしていた。

 9位は食料と農業と栄養0.1%、10位は住宅とシェルター0.1%で、パーセンテージから非常に地味な寄付先であることがわかる。ホームレスのシェルターに寄付を約束した数少ない富豪のなかには、アマゾンのジェフ・ベゾス氏が含まれている。

◆富裕税やはり必要? 意外に少ない富裕層の寄付
 カリフォルニア大学バークレー校の経済学者、ガブリエル・ザックマン氏は、実際に富裕層が寄付した額を、その資産と比べている。同氏はフォーブス誌の資料をもとに、2018年にアメリカの上位20位までの富豪がどのぐらい寄付をしたのかを表に示した。それによると、最も寄付していたのは、ビル・ゲイツ氏(資産の2.6%)とウォーレン・バフェット氏(同3.9%)で、この二人を除くと、残りの富豪の寄付の平均は資産の0.3%だった。最も資産が多かったベゾス氏にいたっては資産の0.1%しか寄付していなかった(ウェブ誌『Vox』)。

 過去の寄付額の多い者や将来多額の寄付を約束している者もいること、資産の時価総額も変動があることから、今回の結果に誤差はあるとVoxは説明する。しかし、結論として言えるのは、富豪は自らの富のうちの悲しいほど小さなかけらしか寄付していないことだとする。ちなみにベゾス氏の2000年から2017年までの寄付額6700万ドル(約73億円)を2018年の寄付額1億3100万ドル(約143億円)に加えても、合計は総資産1600億ドル(約17兆4400億円)のたったの0.12%だと説明している。

 最近アメリカでは、富裕層の資産に課税する富裕税の議論が盛んだ。これは一定以上の純資産がある場合、その2~8%の額を納税させようという考えだ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏が、富裕層はすでに多額の寄付を行っていることを理由に、富裕税反対を表明している。しかしVoxは、反対の理由が寄付であるなら、富豪たちは本当の慈善活動を始めたほうがよいだろうと述べている。

Text by 山川 真智子

Recommends