捕鯨より将来性あり? 日本近海でのホエールウォッチングが人気

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 国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本は、7月1日から31年ぶりに商業捕鯨を再開した。釧路港から出港した捕鯨船がさっそく捕獲したクジラを水揚げしたが、実は近年この地域ではホエールウォッチングが盛んだ。漁をやめて観光客のために船を出す漁民もおり、エコツーリズムを新たな産業に、という地元の期待が高まっている。

◆数十年のブランク 北の海も様変わり
 釧路港では、出港したその日の夕方にミンククジラ2頭が水揚げされた。日本小型捕鯨協会の会長は、「31年間再開を願っていた。こんなにうれしいことはない」と捕鯨再開の喜びを表現している。

 しかし商業捕鯨を禁止していた間、漁師たちの生活も変わってしまった。CNNが取材した70代の兄弟は、以前は8人で船に乗り、数十年にわたってクジラを獲っていたというが、いまはホエールウォッチングを楽しむ観光客を船に乗せるのが仕事だ。商業捕鯨再開は、日本の食文化を守るためには良いことだと話すが、捕鯨の仕事に戻る気はないという。

 ロイターは、ホエールウォッチングは日本で成長しているビジネスだと紹介し、北海道から沖縄まで、人気のスポットが登場していると伝えている。ナショナルジオグラフィックによれば、ホエールウォッチングが日本でビジネスとして始まったのは1980年代だが、勢いがついたのはここ数年のことだという。国際動物愛護基金(IFAW)の調べでは、2015年までの7年間で、ホエールウォッチャーの数は4万人以上増加している。そのうち3分の2は外国人ではなく日本人ということだ。

Text by 山川 真智子