金正恩&トランプそっくりさんは一体何者? G20で大阪にも出現

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◆肉体的な危険も 意外とつらいそっくりさん業
 ハワードさんとアランさんは、2017年からコンビで活動している。平昌五輪、シンガポールやハノイで行われた米朝首脳会談の際など、ビッグイベントのたびに現地に現れ、話題となってきた。笑顔を振りまく二人だが、いろいろと騒動にもなっている。

 平昌五輪の際に、二人は北朝鮮の美女軍団がいる会場を訪れたものの、その場から追い出され、北朝鮮のエージェントに蹴りを入れられたとハワードさんはタイム誌に語っている。ハノイでは、アランさんは滞在できたが、ハワードさんだけが国外追放になった。どうも北朝鮮からベトナム政府に退去させるように要請があったようだとハワードさんはタイム誌に語っている。北朝鮮に行きたいかというタイム誌の問いに、まず生きては帰れそうにないから絶対に行かないと答えており、正恩氏のそっくりさんは危険が伴う仕事のようだ。

 アランさんのほうは、できるだけ政治的な抗議活動には出向かないようにしているという。本物と勘違いするのか、殴りかかってくる人が多いからということだ。とくにトランプ氏の「アメリカをもう一度偉大に」のスローガンを冠した「MAGA」ハットを被っているとさらに危険だということで、こちらも苦労が多いようだ。

◆ギャラもワールドクラス? 大阪にも出没
 トランプ大統領が参加するG20を前に、二人はやはり大阪の街に出現していた。インディアン・エクスプレス誌は、滞在中の様子を写真で紹介し、驚きつつも周りに集まる大阪市民との交流を伝えている。二人は心斎橋のど真ん中に現れ、余裕でポーズ。記念撮影に応じたり、たこ焼きを食べたりと、リラックスした様子だった。

 毎回そっくりさんメイクで登場している二人だが、実はハワードさんの場合は正恩氏とは髪質も違い、まつげなどの特徴ある部分を加えなければいけないため、最初は毎回120ドルかけてヘアメイクを頼んでいたそうだ。その後はやり方を習い、いまは自分ですべてやっているという。アランさんの場合は、「父母に感謝」と本人がいうぐらいもともと似ているため、メイク時間は2分だという(メトロ紙)。ただ、さらに本物に寄せるため、目の周りを白く塗るというのがポイントとのことだ(ブルームバーグのツイッター動画チャンネル「TicToc」)。

 趣味で活動をしているかのような二人だが、実はしっかりギャラをもらっている。TicTocによれば、その額一人につき1時間3500ドル(約37万8000円)。飛行機代、ホテル代、諸手当も請求するということで、シビアなショービジネスとなっている。

 二人ともできるだけ長くそっくりさんを続けたいそうだ。アランさんは、「以前はすごく似ているケネディ大統領のそっくりさんがいたんだけど、あっという間にキャリアは終わったね」と不安定な仕事であることをやや気にしている(メトロ紙)。一方ハワードさんは、正恩氏の場合は独裁者だから息は長いとジョークを飛ばした。今後は、世界の独裁者のそっくりさんを集めてバンドを作りたいとしており、バンド名はもちろん、「The Tyrants(暴君)」にということだ(タイム誌)。

Text by 山川 真智子