100万人抗議でも民意は勝てず……中国に飲み込まれる香港民主主義

Kin Cheung / AP Photo

◆中国反発 今後の抵抗は困難か?
 中国はもちろん「逃亡犯条例」の改正を支持している。政府系英字紙のグローバル・タイムズは、海外勢力と香港の反対派が結託して改正を阻止しようとしていると非難する。とくにアメリカは香港の過激な反対派と手を組んでおり、香港を使って中国にプレッシャーをかけようとしていると述べる。同紙は香港の未来は反対派やその協力者の人質にはならないとし、香港政府と社会はその努力をあきらめてはいけないと記事を締めくくっている。

 しかしフランス24によれば、同紙の記事は海外向けで、国内メディアはほぼ今回のデモを報じていない。デモに関する言及はすべて検閲されているようで、中国のSNS微博(ウェイボー)では、HKの文字の前にガソリンスタンドのポンプの絵文字をつけて、「加油(がんばれ)、香港」と検閲をすり抜けた支援のメッセージも出ているということだ。

 Slateは、中国の指導者は中国には西洋的価値に基づく民主主義は合わないとして独裁権威主義を正当化している、とする。香港が示すのはそれに対する反論であり、若者はより中国に批判的で今後もそうであり続けると同誌は見ている。しかし、小さな都市国家が隣の超大国の圧力に逆らうことももうじきできなくなりそうだとし、今回の大規模デモは、民主主義を守る香港人の、最後の抵抗であるかもしれないと述べている。

Text by 山川 真智子