100万人抗議でも民意は勝てず……中国に飲み込まれる香港民主主義

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◆一国二制度崩壊へ 中国の干渉強まる
 イギリスの植民地だった香港が中国に返還されたのは1997年だが、一国二制度のもと、香港には独立した司法制度を含む自治と自由が保証された。この特別な地位は2047年まで約束されている。

 しかし、民主的改革の否定、自由への締め付け、地元選挙への介入や中国に批判的な人々の失踪(誘拐)という形で、中国の干渉は各所で強まっているという批判が多い。Slateは、2047年を待たずして香港を締めつける中国指導者からのプレッシャーが、これまでも雨傘革命などの紛争の発火点を作り出したとしている。

 もっとも、日曜日に行われた今回のデモは一部を除き非常に平和的だった。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、暑さとなかなか進まない行列にも市民は辛抱強く、道路を開けて人々を誘導した警官は公平だったとしている。ときとして抗議運動は、強い意見を表すための最後の手段だとする同紙は、暴力に頼らず声を届けることを目指した香港の民主主義を讃えているかのようだ。

Text by 山川 真智子