命をかけて女性の権利を訴えるサウジアラビアの女性たち

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◆サウジアラビアの事件
 そんななか2018年6月にサウジアラビアの法律が変わり、女性の運転禁止は解除された。世界で唯一、女性の自動車運転が禁じられていただけにその喜びは大きかった。しかし、その活動を訴えていた女性を含むアクティビストグループが逮捕されていたことがわかった。さらに逮捕のあとには拷問や性的暴力なども行われていた。王国のダハバン刑務所に収容されていた彼らは、電気ショックや鞭打ちを受けたり、天井から吊らされたりするなどの酷い扱いをされたと報告されている

 サウジアラビアに住みながら人権や男女平等を訴えることは自分や周りの人を危険にさらすことである。しかしそれをわかっていながらも、彼らはその危険を承知の上でも人として、女性としての権利を得るために活動を続けている。

◆サウジアラビアの女性が逃亡
 1月5日にも、サウジアラビアの18歳女性、ラハフ・ムハンマドさんが家族からの虐待、さらには殺害される可能性があるとオーストラリアに亡命を試みた。しかし乗り換えで降りたったタイ・バンコク空港でサウジの外交官にパスポートを取り上げられ、その後タイ当局に拘束されてしまった。自国へ返されれば命はないことをわかっていた彼女は、ソーシャルメディア上で自分の状況と亡命したいメッセージを世界に向けて発信し助けを求めた。彼女の動画は一気に拡散され、その結果、国連に保護された。

 現在はカナダに難民として入国を認められ、カナダで新しい名前と自由を手に入れた。ムハンマドさんは、「髪を短く切ったという理由で、6ヶ月間外出禁止にされていました。女性が男性のように着飾ることはイスラム教では禁じられているためです」(BBC )と話した。彼女は、家を出るには必ず家族からの同意が必要で、父親に反抗したとして逮捕されたこともある。タイでは「イスラム教の信仰は捨てた」と棄教を宣言しており、サウジアラビアに戻れば死刑にされていた可能性もある。それでも彼女はリスクを負ってでも行動した価値はあったと話している。

 彼女も命の危険を感じながらも自分の権利を得るために世界に助けを求め、幸運なことにカナダに亡命することができた。しかしサウジアラビアには彼女と同じような状況に置かれながらも、逃げることができずに家族から奴隷のように扱われ、暴行や虐待、または殺害されるケースもある。

Text by sayaka ishida