アメリカ、はしか流行 問題になる子供に予防接種を受けさせない親

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◆未接種で学校へ 低い接種率では流行は不可避
 クラーク郡は、反ワクチン運動がもたらしたホットスポットの典型だ。WPによれば、ワシントン州がある太平洋岸北西部は、反ワクチン活動家が多く集まる場所だった。USAトゥデイ紙によれば、クラーク郡は予防接種を受けていない子供が多いことで知られている。2017~2018年では受けるべき予防接種を完全に済ませていない幼稚園児は4人に1人に上り、なかには40%以上が未接種というところも3校あった。同郡の公衆衛生関係者は、接種率の低さを考えれば、はしかの流行は、いつあってもおかしくないと恐れていたという。

 アメリカでは、一般的に学齢期の子供の親は、就学前に予防接種の証明を提示することが州法で求められている。病気などの医学的理由があれば接種は免除されるが、カリフォルニア、ミシシッピ、ウェストバージニア州以外のすべての州では、宗教上の理由や哲学的信念により、親が子どもの予防接種を拒否することができる(USAトゥデイ紙)。反ワクチン派の親は、こういった方法で、子供への予防接種を回避しているということだ。

 クラーク郡の公衆衛生部長のアラン・メルニック氏は、一般的にはしかに対しては、人口の95%が予防接種を受けていることが望ましいと述べる。空気を介し、感染力の高いウイルスに対しては予防接種を広くいきわたらせることが有効で、病気などの理由で接種できない人を守ることにもつながるとしている。予防接種を受けていない大集団のなかではしかが発生すれば、ガソリンのなかに火をつけたマッチを放り込むように、あっという間に広がると述べ、高い接種率なしでは、はしかの拡散は防げないとしている(USAトゥデイ紙)。

◆接種は個人の権利 ネットで啓蒙された若者が増加
 NBCによれば、はしかの流行により、ワシントン州ではワクチンを接種する人が、昨年1月の530人から3000人以上に増加したという。ほっとするニュースだが、接種を受けたくても受けられない人たちもいる。アメリカでは、ほとんどの場合18歳未満の子供の接種は、保護者の承諾が必要だ。親が反ワクチンである限り、未成年は自分が望んでも予防接種を受けることはできない。

 インターネットの普及により、予防接種を受けたことのない子供たちがその重要性を認識し、接種を望む声が広がっているという。ネット上では、「予防接種は公衆衛生に関わる問題で、社会のために果たす個人の責任だ。自分が持つこのイデオロギーを、親が子供から奪う権利はない」という10代からの意見も出ている(WP)。

 18歳になり自分の意思で初めて予防接種を受けたという、反ワクチン派の親を持つ青年は、親の承諾なしで接種できる年齢を下げることを提案している。もっとも、自分で意思を示すことができない小さな子供たちが犠牲になるリスクは高いと述べ、反ワクチン運動の弊害の深刻さを示している(WP)。

Text by 山川 真智子

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