アメリカ、はしか流行 問題になる子供に予防接種を受けさせない親

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 アメリカで、2000年に根絶されていたはずのはしかが息を吹き返している。今年も10州で感染者を確認しており、非常事態宣言を出すほど流行している州もある。背景には、反ワクチン運動の影響で、子供の予防接種を拒否する親が増加していることがあると見られている。

◆反ワクチン運動の影響 未接種の子供が増加
 NBCによれば、はしかがもっとも流行っているのはワシントン州クラーク郡で、2月11日時点で少なくとも53人が感染している。ほとんどの患者は10歳以下の子供だ。感染は州内の他地域や隣のオレゴン州にまで広がっている。

 小児科医のピーター・ホテズ氏は、はしか感染の拡大は、各所で起こる集中的な反ワクチン運動の結果だとNBCに述べる。ワクチン接種を勧める非営利団体「Immunization Partnership」の代表Allison Winnike氏によれば、反ワクチン運動のきっかけとなったのは、1998年に発表された予防接種と自閉症を関連づける研究結果だった。この研究結果は現在では誤りであったことが判明しているが、予防接種による健康被害を恐れる人々はいまだに多い。結果として、親が支持した反ワクチン運動のおかげで、予防接種を受けていない子供が増加している(ワシントン・ポスト紙、以下WP)。

Text by 山川 真智子