1日1万食以上、連邦職員に無料の食事 米政府閉鎖で立ち上がった有名シェフ

Andrew Harnik / AP Photo

◆トランプ氏と対立、訴訟の過去も
 アンドレスさんが連邦政府職員に食を提供しているのはもちろん慈善事業の一環であるが、実は、彼にはトランプ大統領と対立した過去がある。CBSニュース(2017年4月7日付)の報道によると、両者間のトラブルは2015年にトランプ氏が大統領選出馬を表明した際、メキシコからの不法移民が「犯罪者で強姦犯」であると発言したことに端を発する。アンドレスさんはトランプ氏のホテルにレストランを出店する予定だったが、自らもスペインからの移民である彼はトランプ氏の言葉に反発して出店契約を破棄。トランプ氏側はアンドレスさんを契約不履行により1,000万ドル(約11億円)の支払いを求めて起訴し、反対にアンドレス氏側も800万ドル(約8億8,000万円)の支払いを求めトランプ氏を訴えた。

 同記事によると両者は2017年4月に和解に達したが、アンドレスさんがトランプ氏の政策に反対していることに変わりはない。とくに、今回の政府機関閉鎖では、トランプ氏が国境の壁建設予算を手に入れるため、連邦政府職員やアメリカ市民を「人質」のように扱っていることから、アンドレスさんの正義感に火がついたと思われる。

Text by 川島 実佳