1日1万食以上、連邦職員に無料の食事 米政府閉鎖で立ち上がった有名シェフ

Andrew Harnik / AP Photo

 国境の壁建設予算を要求するトランプ大統領によるアメリカ政府機関閉鎖は25日、一時的に解除された。35日間続いた閉鎖によって我慢や苦労を強いられたのは「絶対に降伏しない」と意地を張るトランプ氏ではなく、閉鎖のせいで働けなくなったり、給与が支払われなくなったりした80万人以上におよぶ連邦政府職員とその家族である。

 そんな連邦政府職員の困窮ぶりを見て、1人のシェフが立ち上がった。自然災害発生地域で食を提供する非営利団体「ワールド・セントラル・キッチン」の設立者であり、また有名シェフでもあるスペイン系アメリカ人のホセ・アンドレスさんだ。

◆1日1万食以上の食事を政府職員に提供
 アンドレスさんはこれまで、インドネシアやグアテマラ、プエルトリコ、米カリフォルニア州などで自然災害の被害者などに食を提供してきた。ABCニュース(1月16日付)の報道によると、アンドレスさんは首都ワシントンDCのホワイトハウス近くに、連邦政府職員とその家族に食事を提供する仮のレストランをオープン。毎日午前11時から午後6時まで休みなく食事を作り、提供し続けた。

 政治サイト『The Hill』(19日付)の報道によると、アンドレスさんのキッチンで働く従業員は、オープン後の翌17日には5,500食、18日には6,448食を政府職員やその家族に提供したと話した。また、ワールド・セントラル・キッチンの23日のツイートによると、同日は午後6時までに1万1,400食を提供。6時以降も列は建物を1周するほど長く続いていたという。

 アンドレスさんは18日、ツイッターに、「私たちは政府機関閉鎖が終わるまで毎日ここにいる! 共和党と民主党の議員たちを、閉鎖によって影響を受けている人々に会って食事を提供するために、(レストランの)ボランティアとして招待する」と投稿している。またワールド・セントラル・キッチンのツイートによると、22日には職員のための資源センターもオープン。食品や水、オムツ、ペットフードなどを配布している。
 

Text by 川島 実佳