除夜の鐘に合わせてブドウ12粒 幸福願うスペインの年越し行事

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 大みそかになると、スペインでは除夜の鐘に合わせて12粒のブドウを食べるという習慣がある。無事にぶどうを食べ終えればその年は幸せになれるとされており、だれもが楽しむ恒例行事ということだ。近年は非ヒスパニック系の人々の間でも、パーティ・イベントの一つとして注目されているようだ。

◆幸運のブドウ 食べ切れなければ不幸にも?
 この習慣は、uvas dela suerte(12粒の幸運のブドウ)と呼ばれ、午前零時の12回の鐘の音に合わせ、一粒ずつブドウを口に入れていくというものだ。それぞれのブドウの粒は新年の各月を意味するという。各月に思いを巡らしつつ鐘が鳴り終わるまでにすべてのブドウを口に含むことができれば、その年は幸せになれるとされている。ただし失敗すれば、不幸が待っているということだ。

 世界の名所と食を紹介するサイト『Atlas Obscura』によれば、この伝統は1900年代の初めに、余ったブドウを売りつけようとしたスペイン、アリカンテの農民が考え出したものという説がある。それ以外にもマドリッドのブルジョア層が、大みそかにシャンパンを飲んでブドウを食べるというフランスの習慣を真似たものだという説もあるようだ。

Text by 山川 真智子