銃乱射ゼロなのに「銃による死亡率」1位のアラスカ……そこに隠された理由とは

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◆銃が身近にあるアラスカ州、自殺率が全米2位
 そこには次のような背景があるようだ。

1.州の銃規制法が緩い
 アラスカ州は「Concealed Carry」と呼ばれる、銃を隠して携帯するための免許が不要である。そして、個人のディーラーから銃を購入する際の身元調査や待機期間もないという。つまり、誰がいつどこで銃を隠し持っているかわからないのである。

2.銃の所有率が高い
 また、アラスカ州における銃所持率は61.7%と全米一である。銃を所有しなければ使われることもなく、所有していれば使う必要がない場面でも使われてしまう可能性が高いと言えるだろう。

3.自殺率が高い
 CBSニュースの3月5日付報道によると、全米の銃による死者の3分の2は自殺によるもので、2015年にはアメリカでおよそ2万2,000人が銃を使って自殺したという。経済サイト『WalletHub』によると、アラスカ州は2017年に自殺率が全米2位と非常に高かった。自殺率1位のワイオミング州と3位のモンタナ州も銃による死亡率が高い州である。

 アラスカ州の情報サイト『JuneauEmpire.com』の記事(17年1月)によると、アラスカ州では2015年に200人が銃による自殺で死亡した。これは人口10万人中27.1人という高い自殺率だという。アラスカ州は人口が少ないため、件数が他州より少なくても相対的な確率は高くなる。ちなみに、自殺率が低い州5州はすべてニューヨーク、ニュージャージーなど東部州だった。

4.労働時間が多い
 前出のWalletHubの統計によると、アラスカ州民の労働時間は全米50州で最も多いという。労働時間が多いという事実がストレスとなっている可能性もあるだろう。また、自殺率1位のワイオミング州は2位となっている。

 アラスカ州で銃による死亡率が格段に高いのは必ずしも暴力的な銃撃事件が多いからではなく、銃が身近にあり、しかも自殺率が高いことが背景にあることが分かる。統計から見ても、銃を所有しなければ銃による死亡率が減ることは確かなのだ。

Text by 川島 実佳

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