「日本ではCHIKANに注意」 酔っ払いの“無礼講”が横行? 海外も注目する痴漢

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◆日本渡航者に対する注意喚起、「傾向と対策」
 五輪を控えて電車に防犯カメラを設置するのは、痴漢に対する「海外の目」も意識していると思われる。日本の満員電車と痴漢は国際的に知れわたっており、外国人被害者も出ているからだ。海外では自国の渡航者に注意喚起をする動きも出ており、イギリス政府は、通勤電車での痴漢の報告はよくあり、日本の法律が性犯罪において被害者の方に大きな負担を強いることを呼びかけている

 公共の場での痴漢やセクハラは多くの国で起こりうるし、特に女性旅行者にとっては万国共通の悩みだ。ワシントン・ポスト紙は、性暴力を受ける可能性の高い国の事例と対策を紹介した。東京の事例では、酔った男性が犯行に及ぶ可能性が高いことを伝えており、加害者の手をつかみ「チカン」と叫ぶことをアドバイスしている。

◆痴漢がなくならないメカニズムを追究する向きも
 路上セクハラ対策を進めているフランスでは今春、現地に住む日本人女性の痴漢告発書『TCHIKAN』が出版され、50ものメディアが報じて話題となった。女性は日本に暮らしていた頃、6年間ほぼ毎日痴漢に遭ったが、周りにいた男性は誰も助けてくれなかったという。『Buzzfeed』は、日本の「攻撃文化」に注目し、その背景としてストレス社会、女性の地位の低さ、教育不足を挙げた。9割の被害者が警察に届け出ていないことから、声を上げにくい実態を指摘する。

 日本で最初に女性専用車両が検討されたのは、明治5(1872)年とかなり古い(このときは実現せず)。欧州に倣おうとしたとされるが、男女が同じ空間にいると危険だという慣例があったからでもある。その後、終戦期まで段階的に女性専用(女学生優先)車両が運用されていった。歴史を振り返ると、性倫理も海外目線への意識も、いまだ変わらない部分があるということだろう。

Text by 伊藤 春奈