被災地に物を送るのは裏目にも 「助けたい」気持ちが生きる支援とは?

Destroyed houses / AP Photo

◆物よりボランティアを ただし行くだけでは迷惑
 ドラキア氏は、お金の次は時間と労働力を提供するのが良いとしている。避難所の手伝い、被災した家の後片付け、炊き出しや食事の配達などを例として上げ、個人の時間と労働力は状況に合わせて変えることができるため、物を送るよりずっと有効だとしている。

 ただし、善意だけで現地にボランティアとして向かうのは禁物だとHowStuffWorksは指摘する。前述のジョプリンの場合は、何千人ものボランティアがやってきたが、清掃や復旧活動の複雑さを全く理解していなかったという。見かねた近隣のインディアナ州の行政側が、「事前にミズーリ州の災害対策担当者と連絡を取り合わずにやって来た個人は、たとえ善意があっても、復旧活動の妨げとなり得る」というメッセージを出したということだ。

 被災地では、食料や寝泊まりをする場所が少ないこともしばしばで、衛生状態も悪い。せっかく手伝いに来ても自分が病人になったのでは元も子もないとHowStuffWorksは述べる。自分に被災地で役に立つスキルや訓練経験がないのなら、現地の作業はプロに任せたほうがよいとしている。

◆復興には時間がかかる 経済的支援に長期的視点を
 ドラキア氏は、お金を寄付する場合は、寄付先にも気をつけよと述べている。募金を集める個人や、知らない団体からのメールやソーシャルメディア上での寄付要請を容易に受けるのは禁物だ。必ず信頼できる団体を選び、その団体がどのように寄付を活用するのか事前に確認するのが好ましいとしている。

 同氏はまた、寄付したい額を、一度に全部送らないよう呼びかけている。被災地の復興には時間がかかり、米ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カタリーナの場合では、10年もかかっている。被災直後には、世間の目や同情は被災者に向かうが、メディアが新しい別のニュースを報じれば、寄付をする人やボランティアの目もそちらに移るのが現実だ。ある研究では、自然災害発生後6週間で寄付は急激に減り、14週間で枯渇するという結果も出ているという。寄付は被災地が復興に要する期間を通じて続くのが理想だと同氏は述べ、長期のフレームで寄付をずらして行うことを奨めている(サイコロジー・トゥデイ誌)。

Text by 山川 真智子