被災地に物を送るのは裏目にも 「助けたい」気持ちが生きる支援とは?

Destroyed houses / AP Photo

 西日本を襲った記録的豪雨により、各地で甚大な被害が出ている。被災した地域ではライフラインが寸断され、多くの人々が避難所での生活を余儀なくされており、被災者への支援は急務だ。一方で、過去に自然災害が起きた世界各地で善意の支援が裏目に出てしまうケースも報告されており、今一度どのような支援が望ましいのか専門家の意見を参考に考えてみたい。

◆善意の物資で飽和 担当者も困惑
 2011年、史上最大級の巨大竜巻が米ミズーリ州ジョプリンを襲い、161人が死亡、町も壊滅的被害を受けるという大惨事になった。多くのアメリカ人は、洋服、食品などありとあらゆるものを箱詰めにして被災地に送り届けたが、これがもう一つの危機を作り上げてしまった。次々と到着する大量の物資の処理に追われ、当時の町の救援活動担当者は「まとまりのない善意に圧倒されてしまった」と述べている(情報サイトHowStuffWorks)。

                                                                                                                 

 心理学者のウトパル・ドラキア博士は、大きな自然災害が起きるとだれもが被災者を助けたい気持ちになるのは当然だ、とサイコロジー・トゥデイ誌への寄稿記事の中で述べる。しかしせっかくの寄付ならば、それが最大限に被災者のために活かされるようにするべきだとし、いくつかの提案をしている。

◆物資の寄付の6割は無用? 物に勝る個人の寄付とは?
 同氏はまず、現金による寄付を奨め、個人で物資を寄付することは2つの面で裏目に出るとしている。自然災害における物支援は、マッチングの問題を引き起こすという。例えば、善意でたくさんの男性用衣類を避難所に送っても、実際に必要なのは子供用のものかもしれない。必要のない衣類を引き受けることは、救援担当者やボランティアの負担にもなる。HowStuffWorksによれば、被災地に届けられる物資の約60%は不要、という研究結果もあるそうだ。

 ロジスティック面からしても、独自に物を送るのは問題だと同氏は述べる。自然災害の後では、通常の配送ルートが寸断されていることも多く、目的地まで届かない可能性もある。災害支援団体の代表、ボブ・オッテンホフ氏は、洪水で道路が塞がれ、倉庫も使用不可、物の置き場も分配する手段もないというのがほとんどのケースだと指摘する。被災直後の物の寄付は間違いだと言い切る(サイコロジー・トゥデイ誌)。

 米チャリティ監視団体CharityWatchの会長、ダニエル・ボロチョフ氏も、現金を支援団体に寄付し、届けるべき物資の選択やその運搬方法はすべて彼らに任せるべき、とコンシューマー・レポート誌に述べる。

Text by 山川 真智子

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