借金して4年制大学に行く価値は? 問い直す米学生 新たな選択肢も人気に

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◆根強い大学信仰。移民社会特有の問題も
 大学に行かなくても稼げるチャンスがあるのに、なぜ若者は大学を目指すのだろうか。キャリアと技術系教育従事者のため団体、Advance CTEのケイト・ブロスベレン・クリーマー氏は、4年制大学を卒業することで元が取れるという認識が依然として高いことを指摘する。とりあえず大学に行こうというのが高校で固定化された考え方で、計画もなく大学を目指す人が多いと述べている(NPR)。

 本人たち以上に、親を説得するのが難しいとクリーマー氏は指摘し、いわゆる職人系の仕事は、親にとっては我が子に歩ませたい道とはいえないと述べる。鉄骨組立工の訓練プログラムを運営するグレッグ・クリスチャンセン氏も、肉体労働者の6つに割れた腹筋は不名誉のしるしであり、子供達には重労働はさせたくないというのが親心だと述べている(同上)。

 さらに、移民が多く格差の大きいアメリカ社会では、早くから職人系のキャリアを学校で積極的に勧めることには慎重だとNPRは述べる。低収入で人種的マイノリティ家庭出身の学生がブルーカラーの職業を勧められ、裕福な白人家庭の子供が親から大学に行くよう強いられることにもなりかねないからだ。また、学校の評判と不動産価値を高めるためにも、高校側はできるだけ多くの生徒を4年制大学に送りたい、という事情があることも指摘している。

                                                                                                                 

◆学費は出世払い。ハイテク時代の新たな選択肢
 大学教育の恩恵が薄れる今、大学以外の選択肢として、1年間でカリキュラムを終わらせるという教育機関も現れた。昨年サンフランシスコに開校したMissionUは、データ分析やビジネス・インテリジェンスを教える学校だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、オンライン中心の授業は週40~50時間で、学位は授与されない。ただしハイテク企業での実習が保証されており、これが卒業後の就職につながるという。学生は最初に学費を払う必要はなく、卒業後、年収5万ドル以上の仕事につけば、3年間に渡って収入の15%を学校側に返済するというシステムだ。定員50名のところ、1万人の出願があったという。

 ある在校生の試算では、4年制大学に進むより、25万ドル(約2750万円)の得になるという。ちなみにこの学生の姉は、私立大学を人類学と政治学のダブルメジャーで卒業したが、3万5000ドル(約385万円)のローンを抱えているということだ(WSJ)。法外な大学のコストが学生の負担になっていることは確実で、今後は学位より実利を取る学生も増えてきそうだ。

Text by 山川 真智子

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