「コーヒーに発がんリスクの警告を」カリフォルニア州裁判所

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 コーヒーが乳がん、前立腺がん、膵臓がんを引き起こす可能性は低いことが研究で明らかになっており、肝臓がんと子宮がんの危険性を下げると思われるとIARCは述べている。ほか数十種類のがんに及ぼす影響を判断するための証拠は不十分だ。

 風味を損なうことなく製品からアクリルアミドを除去することは不可能だと、コーヒー会社はコメントしている。

 しかし、原告側の弁護士で1日に何杯かコーヒーをたしなむラファエル・メッツガー氏は、業界は味わいを損なうことなく化学物質を除去することが可能だと話す。

「ポテトチップス業界にできるなら、コーヒー業界にもできると私は確信しています。中毒性のある製品なので、警告表示はさほど効果的ではないでしょう」

 多くのコーヒー店が既にコーヒーに含まれるアクリルアミドは発がん性化学物質であると表示された警告を掲示している。しかし、店頭での掲示が求められている表示が見つかるのは、クリームや砂糖が置いてあるカウンターの下のような見えにくい場所であることが多い。

 警告を掲示している店の客の多くは、その表示に気が付かないか気に掛けない。

 ロサンゼルスのスターバックスで午後のコーヒーを楽しむ人たちに話を聞いた。警告を見た人もいれば、判決を受けてコーヒーを飲むのをためらった人もいるが、みな1杯のコーヒーの誘惑には勝てなかったようだ。

「警告では私を止められないでしょうね。コーヒーの味が大好きだし、日課だし、ハイになれるし、元気が出るし。私はコーヒー中毒なんだと思います」と、デジタル・マーケティング・テクノロジストのジェン・ビターマンさんは話す。

 ロサンゼルスで弁護士をしているダーリントン・イベクウェさんは、がんの警告表示は気になるが、自分へのご褒美の週に3杯のラテは止められないと話す。

「タバコと同じさ。なんでこんなものを見せられなきゃならないんだ? 俺はコーヒーを楽しんでるのに」

 被告側には、最終判決が下される前に数週間の上訴期間が与えられ、和解の可能性も残されている。

 この判決が下れば、相当な額の課徴金が課せられ、カリフォルニア州の外の消費者を震撼させるだろう。

 判事は、1人あたり日額最高2,500米ドルの民事罰則金を8年間毎日課す可能性を検討することができる。人口約4,000万人のカリフォルニア州では天文学的な金額になる。そこまで巨額な罰金は実現しないだろうが。

 カリフォルニアの市場は巨大なため、州内の店舗一軒一軒に合わせた警告表示付きパッケージの作成は困難を極めるのは必至だ。

 今回の判決は、州外のコーヒー愛好家も発がん性警告表示付きのコーヒーを飲むことになる可能性を示唆している。クリームと砂糖はまだ自由に選べるはずだが。

By BRIAN MELLEY, Associated Press
Translated by Naoko Nozawa

Text by AP