長洲未来への「移民、よくやった」に批判殺到 アメリカのアジア系への偏見

Bernat Armangue / AP Photo

◆アジア系移民の「苦労話」を称えたがる白人たち
 ウェイス氏のツイートに対し、白人の父親とタイ人の母親を持つモデルのクリッシー・テイゲン氏はツイッターで「それは永久的なよそ者主義、または永久的外国人症候群と呼ばれる。移民という言葉を恥じる人はいないけれど、いつまで経っても外国人扱いされるのはうんざりする」と述べた。

 またニュー・リパブリック誌(電子版)は2月16日付記事で、「ウェイス氏のツイートは長洲選手に対する人種差別的な間違った特徴づけというだけではなく、(アジア系アメリカ人が)『理想的な移民』であるとするナラティブの例であり、移民そのものではなく移民による労働を称え、また全ての移民、すなわち全てのアメリカ人が平等ではないと暗示するものだ」と述べた。

 確かにオリンピックでもどこでも、白人系アメリカ人の場合は親が移民であろうとそうでなかろうと、どんなに苦労してアメリカで成功したかということが話題に上ることはまずない。この「移民成功話」に注目が集まるのはアジア系だけであり、そこで「やはりアジア人は理想的な移民だ、それに比べて他の移民は……」という話に繋がっていくのである。

◆「理想的な移民」扱いの根本的な間違いとは
「理想的な移民であると思われるのはいいことではないか」という意見もあるかもしれない。しかしここでの問題は、アジア系アメリカ人が2世、3世、または4世であっても、完璧な英語を話しても、白人系アメリカ人から「あなたはどの国の出身か」「アジア人にしては英語が上手だ」などと言われ、永久的にアメリカ人として見られないところにある。この傾向は、第二次世界大戦中に日系アメリカ人が強制収容所に入れられた時代から変わっていない。

 先祖の国に住んだこともなく、先祖の言葉も話せないアジア系アメリカ人にとって、他国人に見られるということは屈辱的な扱いなのである。ウェイス氏のツイートでの大きな問題は、白人系アメリカ人がその間違いを自覚せず、自分自身を上に置き必要のない「政治的に正しい」態度で、自分と変わりのないアメリカ人であるはずの人々を「理想的な移民」として褒めようとする姿勢にあるのだ。

Text by 川島 実佳