長洲未来への「移民、よくやった」に批判殺到 アメリカのアジア系への偏見

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 今まさに最高潮を迎える平昌冬季五輪。韓国で開催されている今回のオリンピックで、ネイサン・チェンやクロエ・キム、シブタニ兄妹など、アメリカチームにアジア系アメリカ人が多数を占めていることに気づいた人も多いだろう。中でも日本人に注目されているのは日本人の名前を持つフィギュアスケート選手、長洲未来(ながす・みらい)選手だ。

 長洲未来は日本人の両親を持つが、アメリカで生まれた正真正銘のアメリカ人だ。その長洲選手は今回のオリンピックでアメリカ人女性で初めてトリプルアクセルを決めメディアの注目を集めた。しかし、そんな長洲選手を称えようとした(と思われる)米紙ニューヨーク・タイムズ記者のツイートが「アジア系アメリカ人差別」であると批判を浴びている。

◆外国人扱いされるアジア系アメリカ人
 長洲未来選手のトリプルアクセルでアメリカ中が沸く中、ニューヨーク・タイムズ記者のバリ・ウェイス氏は、「Immigrants: They get the job done(移民は仕事を成し遂げる)」とツイート。どうやら、ウェイス氏は長洲選手が日本名を持つことから彼女が日本からの移民だと思い込んでいたらしい。ウェイス氏に悪意はなかっただろうが、普段からアメリカ人なのにそうと思われず、よそ者扱いされることが多いアジア系アメリカ人はウェイス氏の発言に「人種差別だ」と食いついた。

 ウェイス氏に悪意はなかったにしろ、ここでの問題は彼女が長洲未来選手を自動的に「アジア系=移民」だと思い込んでいる点だ。彼女を含む多くの白人系アメリカ人は、自分たちが「アメリカ人」、そして特にアジア系や中南米系アメリカ人を自動的に「外国人」「移民」と思い込み、無意識のうちに見下した発言をする傾向が強い。ウェイス氏のツイートには、そんな態度が如実に表れている。

Text by 川島 実佳