米女子体操虐待、問われるべき「傍観者たち」の罪 訴え否定、口止めも

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 オリンピックを席巻した米体操界のスターたちが、長年にわたり元チームドクターに性的虐待を受けていたという事件は全世界に大きな衝撃を与えた。

 地元ニュースサイト『Mlive』によると、ミシガン州立大学医師で、米国体操連盟の元チームドクター、ラリー・ナサール被告は1月23日、女性判事の「私は今、あなたの死刑執行令状に署名した」という言葉と共に、 40年から175年の禁固刑を言い渡された。

 この事件の被害者数は265人以上に上ると言われる。しかしこの事件は被告に判決が出たから「これにて一件落着」では決してない。ナサール被告による性的虐待がなぜこれほど長く続けられたのか、なぜ今までその事実が明るみに出なかったのかという点で、表面化すべき事実や告発されるべき人々などは今後続々と出てくるはずだ。

◆ナサール被告の性的虐待、94年から被害か
 ラリー・ナサール被告の被害者の中には、米体操オリンピックチームのアリー・レイズマン選手やマッケイラ・マロニー選手、シモーネ・バイルズ選手など著名な体操選手も含まれている。

 地元ラジオ局ミシガンラジオの報道によると、ナサール被告は1986年に米国体操連盟のアスレチック・トレーナーとして勤務し始めた。その後1994年に初めての被害者が出たという。起訴状によるとこの被害者はオリンピック代表選手で、同年から2000年まで6年間にわたり被害を受け続けていた。

 また記事では、ナサール被告が96年にミシガン州立大学のスポーツ医師として勤務を始め、すぐ患者を性的に虐待し始めたと記述している。しかし2004年に被害者が性的虐待を訴えた事件は警察に却下され、また2014年にはミシガン州立大学が内部調査を行い、ナサール被告が無実であると発表。その後2016年8月に被害者が初めて警察に被害届を出したという経緯だ。

 同記事によるとナサール被告は94年から2016年まで患者の性的虐待を行っていたことになるが、94年以前にまだ明らかになっていない虐待があった可能性も十分ある。

Text by 川島 実佳